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2019年6月

2019年6月30日 (日)

慈眼(じげん)堂の石燈籠がよかった

 竿の上下がマカロンのような菊花となっている。笠が大きくてキノコのお坊さんたちのように見える。菊花部分が円形なのに竿が四角いので正面性が強まり、きっちりと並んでいるような印象を与えてくれる。なかなかよくできている。

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 慈眼堂は黒衣の宰相南光坊天海として知られている慈眼大師(じげんだいし)をまつる霊廟である。大きな墓があり十三石仏が護っている。13は金気の数字だ。墓地は金気で飾ることが多い。金気か四季で言えば秋であり実りの季節だ。植物が死んで実や種を残す。生が死と入れ替わる季節である。墓地が金気で飾るのはそんな意味があるように思う。

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 さて、図のように慈眼堂だけ南向きとなっているのが謎だ。墓も滋賀院の仏堂も遠州作の庭でさえ東向きなのになぜ慈眼堂だけ南向きなのだろうか。いくつか思いつくことはあるが大切なことであるように思うのでゆっくり考えてみる。

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2019年6月29日 (土)

旧竹林院の庭を見てきた

 滋賀県坂本の旧竹林院の庭を見てきた。ネットにした写真のような反転像があがっており見たくなったのだ。磨き込まれた床に緑が映えることはあるが、これは大型の座卓の上面に庭がに映りこんでいた。さっそく自分も撮ってみる。鏡の国のアリスの気分だ。

 もとは比叡山の里坊(さとぼう)のひとつだったのが明治期に人手に渡ったという。現在の2階建ての座敷は明治以後に建てられたものだそうだ。写真は2階の座敷で撮った。

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 植治のような回遊式庭園だが年代不詳。中央に赤松と黒松を配して陰陽を整えている。植治はこんなことしないだろう。しかし江戸時代の庭かと言えばそうでもない。紅葉と枝垂れ桜を対にしながら位置が東西逆転している。江戸時代にこんなことはしないだろう。ある程度江戸時代の庭が残っていたのを明治になって改造したのではないか。

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 雨上がりのためコケが一面輝いていた。濡れた土の匂いと湿った緑の香りが風にのって庭を吹き渡る。とても気持ちがよい。

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 庭に茶室がふたつあるため露地あり待合ありと茶庭の趣が深い。点在する石灯籠もおもしろいものが多かった。歩いて楽しい庭である。

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 庭を東の端から見ると梢越しに八王子山が見える。山頂にある日吉神社奥の院の舞台づくりがよく見える。画面左側の滝組もよく見える。現在この眺めを楽しむ座敷はないが本来ここがこの庭の正面だったのだろう。ここから見ると奥の院が桃源郷のように見える。やはり不思議の国のアリスの庭である。

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2019年6月28日 (金)

八坂の塔メモ

 たまたま開いていたので拝観した。拝観したいと思いながら公開が不定期なのでラッキーだった。考えたことをメモしておく。

 ここは聖徳太子が如意輪観音の夢告により創建したという。仏舎利3粒を塔に納めたそうだ。ご本尊は五智如来。正式な寺名を霊応山法観寺という。現在の塔は室町時代に再建された4代目。パンフレットによると主な歴史は次のとおりだ。

589年  聖徳太子創建
1179年 清水寺衆徒と祇園神人の争いにより類焼 1191年源頼朝が再建
1240年 建仁寺八世済翁証救が入山し禅宗となる
1291年 落雷により焼失 1309年後宇多院の援助により北条貞時・山内円成尼が再建
1336年 焼失 1450年足利義教が再建

 水生木の観音の聖地
 聖徳太子関係の寺は「法」がつくことが多い。法は水を去ると書くので水を克す、つまり土気だ。塔は仏舎利という釈迦の骨を埋めた墓なので巨大な土気である。塔に五重が多いのも5が土気を示すからだろう。寺は墓であり土気であることを「法」は示すように見える。ご本尊を五智如来としたのも5にちなんだのかもしれない。

 わたしは飛鳥時代のひとびとは寺を土用と考えていたと思う。土用はほかの4気をさかんにする。金気の薬師を本尊とすれば金気の神がさかんになって疫病除けとなるし、木気の観音を当てれば木気がさかんになって子安に役立つ。この場合は如意輪観音なので子安だろう。仏舎利3粒の「3」は木気を表す数字だし。八坂の八もやはり木気数8に通じる。

 ご本尊と太子堂の関係
 塔内は極彩色の板絵で飾られる。宇治の平等院鳳凰堂と同じ雰囲気だ。柱まわりに五智如来の4体がまつられる。中央の柱が5体目の大日如来なのだろう。仏像はいずれも焦げたような跡があり手がとれていたりするので被災したことが分かる。つまり塔より古い。

 なぜか北側の仏像だけがひときわ大きかった。塔の北側には太子堂があり3歳の聖徳太子像がまつられている。北は水気の領域であり3は木気の数だから水生木の相生の関係を表しているように見える。このことは太子堂創建と塔内に五智如来をまつったときとが同時であることを示す。そのころにはもう金堂や講堂は失われ塔しか残っていなかったのだろう。塔だけを再建して五智如来をまつり小さな太子堂を添えて聖徳太子の遺徳をしのんだわけだ。

 木曽義仲の墓
 驚いたのは木曽義仲の首塚があったこと。平家を京都から追い落とした立役者。朝日将軍とほめそやされるが2か月足らずで追討され三条河原に首をさらした。遺臣がそれを引き取りここに供養したという。希代の戦術家でありながら政治に敗れた若きヒーロー。彼にここで出会うとは思わなかった。

 これは御霊なのだろう。八坂の塔の南側の旧清水小学校のあたりが轟(とどろき)川の河原だ。そこは成仏できずにこの世にとどまる御霊の領域だ。八坂もまた死と誕生の境目にあるのだろう。

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八坂の塔から東を望む(2019.6.16)

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建築専門学校で木のスケッチ演習をした

 御所で木を描く。小雨が降っていたが結構した。絵の具が乾かなくてにじんだり流れたりする。雨の日には雨の日にしか描けないスケッチがあるのだ。そこがおもしろい。

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2019.06.27/A3スケッチブック、グラフィックペン0.5、透明水彩/京都御苑
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絵の具を使う学生たち
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学生作品

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2019年6月27日 (木)

設計課題の敷地をスケッチした

 1年生に「場の設計」というポケットパーク的な課題が出た。この駐車場部分が課題の敷地だ。敷地のようすを確認するためにスケッチしてみた。旧街道に面した三角形の敷地なのでまわりのビルがみんな斜めになって敷地に突き刺さるようだ。わたしだったら敷地を少し掘り込んで滝をつくるかな。

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2019.06.19
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2019.06.27

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2019年6月26日 (水)

アイスコーヒーをつくった

 東京へ嫁いだ娘から父の日のプレゼントでコーヒー豆をもらった。3種類のなかに苦くて香りのよい豆があったので150グラムほど挽いてアイスコーヒーにした。冷やしてミルクを多めにすると涼やかで香りのよいアイスコーヒーになった。毎日少しづつ飲んでいる。ありがとう。

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2019.06.22

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机の整理

 机を片づけた。もともと机には何も置かないルールだったのだが、いつの間にか物置きと化してしまった。製図板も置けなくなってきたので一念発起して片づけた。気持ちがすっきりした。机が片付くと新しいことを始めようという気持ちが湧いてくるから不思議だ。

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2019.06.10

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2019年6月25日 (火)

落水荘を2点パースで描いた

 初めて描いた。滝が板状の岩を重ねたようになっている。変成岩の節理なのだろうか。その棚のような岩の層の上にバルコニーを重ねている。滝の一部として設計されていることが分かる。バルコニーが数メートル突き出していることで軽やかな外見を得て滝とうまくなじんでいる。問題なのはこのバルコニーをどうやって支えているかだ。わたしは手すりが梁になっているのではないかと思っている。このあたりは現地で確かめないと分からない。

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2019.06.24/ワトソン紙A4、0.5シャーペン2B、透明水彩/落水荘

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豚肉とトマトの炒め物

 豚肉の旨みとトマトの酸味をカタクリ粉がとろっとまとめて味わい深い。トッピングのペクチー(香草)は庭で採れたもの。摘みたての香りが食卓に満ちる。

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2019.06.21

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2019年6月24日 (月)

スペイン風オムレツ

 トマトや万願寺トウガラシを混ぜ込んだカラフルなオムレツ。野菜のうまみが玉子とよく馴染んでうまい。下はウズラ豆のポタージュ。冷たくて甘い。パセリは庭で採れたもの。

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2019.06.18

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一点パースで多宝塔を描く授業

  毎年描いている課題だ。1時間くらいで多宝塔がひとつ描ける。一点パースでいろんなものが描けることを知ってもらうのがねらい。みんなで一斉に同じように描いているのに、いろんなバリエーションができるのがおもしろい。

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一点パースの板書

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学生作品

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2019年6月23日 (日)

にしんそば

 庭で採れたの大葉の香りがとても良いのだ。ニシンの甘い旨みが固ゆでのソバによくからんでうまい。

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2019.06.17

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茶碗バスが咲いたよ

 きょうが2日目で全開だ。咲いた昨日は夏至だった。花も暦を読むのだろうか。これが今夜閉じてあすまた開く。開閉は平均3回なので明日散るだろう。ちなみに、つぼみの先がとがっているのは空を覆うハスの葉を押しのけるためである。よくできている。

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2019.06.23
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2019.06.21(咲く前の状態)

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由岐神社拝殿の謎(10)さいごに

  メモのつもりが長くなった。最後にいくつか写真を投稿して連載を終える。

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 あとどのくらい登れば本殿へ至るかを示す石票がたつ。年代と寄進者の名が刻まれている。江戸時代のものもある。寄進者は亡くなってもその人の功徳は残るわけだ。コケで白くなっているが鞍馬石なのだと思う。五輪塔のかたちをして梵語を刻む。とても美しい。わたしはこうした石工さんの仕事が大好きだ。

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 緑陰とはこれをいうのであろう。本殿へ至る参道は木気の道である。

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 参道の至るところに鞍馬石の露頭を見ることができる。熱変成による節理が見られる。欠けたところを見れば青い石であることが分かる。鞍馬石が青い泥の堆積が熱変成したであることが分かる。

 青は木気の色だ。これが豊富な水気とあいまって水生木の聖地となったのであろう。おもしろい。

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2019.06.05、京都市鞍馬

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由岐神社拝殿の謎(9)参篭する意味について

 拝殿が檜皮葺なのは木気を示したいからだろう。水気を表す6を使った拝殿を3本のご神木の前に建て「水生木」の相生の関係を示したことは説明した。だから金気である瓦は木気を克すから使えないのだ。

 さて、木気を示す数字には3と8があるといった。3は生まれたての木気を示し8は成長した木気を表す。成長して初めて木気が発動する。3のままではなにも起こらないのだ。8と3の差である5は土気であり、木気は土気の作用(土用)によってはじめて成長した木気となる。だからこの場合6と3を揃えただけでは「水生木」の関係は完結しない。5が足りないのだ。では5はどこにあるか。

 わたしはお参りする女体が5なのだと思う。人体は男女にかかわらず土気を表す。人体は最大の呪具であるともいえる。3と8を揃えて5が無いのは、参詣者自身が「水生木」の関係に加わってはじめて子安の祈りの形式が完結するよう用意されているからだろう。数日にわたって参篭すれば5がよく利くと考えたのではないか。参篭にはそうした意味があるように思う。

 ちなみに唐破風は神の通る道を示す。拝殿の階段通路に唐破風がかけられているのは参詣者の肉体が神性を帯びることを示すのかも知れない。

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2019.06.05、由岐神社(京都市)

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由岐神社拝殿の謎(8)ヤツデの御紋はなにを表すのか

 鞍馬寺の御紋はヤツデだ。鞍馬神の使いである天狗の持ち物だ。これは冬でも翠であることが木気がさかんであることを示すことと、八つ手と書いたときの8が木気の数であることが理由だろう。ところが御紋の葉は11枚ある。これはなぜか。

 8は五行説では木気を示すが八卦だと土気を表す。土気は水気を克すので避けたのかも知れない。木気の数である3と8の和である11もまた木気を表す。十一面観音の11などはこれであろうとわたしは思っている。

 八手はうちわの形をしているが、うちわの起こす風もまた八卦で言えば木気となる。ヤツデは木気の象徴なのだ。もちろんこれは水気の神域で木気が芽生えるという子安の霊験を象徴していることは言うまでもないだろう。

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2019年6月22日 (土)

由岐神社拝殿の謎(7)水生木の聖地としての鞍馬

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 由岐神社拝殿の後ろにそびえる3本のご神木。この3が木気を表すことは明らかだろう。鞍馬は水気の領域なのだから、そのあふれる水気のなかで木気が芽生えますようにという子安の願いを形式化したのが由岐神社だったろう。

 古来、祖先の帰る山は新しい命のやってくるところでもあった。普通、そこには「坂」があり生死の世界を分けへだてている。鞍馬寺山門から由岐神社、鞍馬寺本殿へ至る坂がそれなのだろう。坂のまわりにはおびただしい墓があったはずだ。そして坂の上には岩か崖があり、そこから水が湧き出ているはずだ。

 本殿のある山は鞍馬石と呼ばれる変成岩の露呈がいたるところで見られる。山全体が大きな岩倉なのだ。岩は金気で水気を生む。岩からしみ出した水が集まって渓流となり、それが合流する場所に由岐神社はある。もっとも水気の集まる場所に木気の礼拝場があるわけだ。よくできている。
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2019年6月21日 (金)

由岐神社拝殿の謎(6)いったい鞍馬山には何がまつられているのか

 6は水気を表す。由岐神社が生命誕生を司る木気神であるため水気の6を供えて木気を盛んにすることは説明した。拝殿が6間なのにはもうひとつの理由がある。それは鞍馬寺がいったい何をまつるのかに関係する。

 割拝殿は中央に通路があることから門に似ている。この拝殿も門のようだ。門はその社寺に祭られた神仏を象徴することが多い。もしこの拝殿が門だとすれば6は水気だから、そこに祭られているのは水気の神となる。しあkし由岐神社は木気の子安神をまつる。いったい水気の神はどこにあるのか。

 由岐神社から急斜面を上がるとそこに鞍馬寺がある。本来このふたつの社寺は神仏習合した一体のものだったろう。鞍馬寺は毘沙門天、護法魔王尊、千手観音をまつる。本堂中央に御座する毘沙門天は多聞天の別称で、四天王のうち北方を護る武神である。そして北は水の領域であるので毘沙門天は水気の守護神となる。拝殿が示す水気は鞍馬神そのものであり、ここが水気の霊地であることを示すのだ。

 本堂前に大きな魔法陣が描かれている。外側から16、8、6と三角形のつらなる輪がある。8は八方を示すのだろう。東西南北とその中間だ。外側の16がその倍数なのでやはり八方を表しているのだろう。内側の6は六芒星をかたどると同時に水気を表す。そして中央に北向きの正三角形がひとつある(水気の三合)。つまり本堂にまつられるのが北方を守護する水気の神であることを示すのだろう。

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2016.09.05、鞍馬寺

※三合(さんごう) 暦の上で水気が誕生するのが8月、もっとも盛んとなるのが12月、消滅するのが4月となっている。これを12の方角に置き換えると西南西で誕生し北方で盛んとなり東南東で消滅することになる。したがって北を向いた正三角形は水気の三合となる。

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2019年6月20日 (木)

ウインナーシュニッチェル風トンカツ

 ウインナーシュニッチェルは本来仔牛だがこれは豚肉。こんがり焦げた衣が美しくて香ばしい。薄く伸ばした肉の柔らかさが衣のサクサク感で際立つ。軽やかでリズミカルな食感が楽しい。

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2019.06.10

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2019年6月19日 (水)

由岐神社拝殿の謎(5)なぜ拝殿の階段通路は東から3番目なのか

 6が水気を示す数字であることは説明した。御祭神が生命誕生をつかさどる木気の神であり、それに水気を供えて「水気が木気をさかんにする」(水生木の相生)という五行説に則っているわけだ。では階段通路が東から3つ目の間に設けられているのだろうか。これにも意味がある。

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 拝殿は図のような平面となっている。正面から見ると通路右側が2間、左側が3間となる。2は陰気を表す数字であり、3は陽気を表す。一方、東は陽気、西は陰気だ。すると狛犬の逆転と同じことが起こる。つまり陽気の3は東へ移動しようとし、陰気の2は西へ移動しようとする。階段通路の部分で陰陽の混交が行われるわけだ。拝殿の階段通路が東にかたよっているのは陰陽混交をこの建築のテーマとしたからだろう。

 さて、拝殿が6間であることにはもうひとつの意味がある。それは次回に。

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2019年6月18日 (火)

ハヤブサ登場

 ハヤブサを見かけるようになって10年ほどになる。まったく見ない年もあるが今年は年初から見かけることが多い。100メートルほど上空を旋回飛行して獲物を探している。わたしの真上に来たので写真を撮ってやった。羽の先が少し開いているところと、尾羽がまっすぐであることからハヤブサと分かる。航空機識別みたいだ。

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2019.06.17

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2019年6月17日 (月)

由岐神社拝殿の謎(4)なぜ本殿の狛犬は左右が逆なのか

 この謎を解くヒントは本殿の有名な狛犬にある。犬は子だくさんであることから安産を象徴する。この狛犬も子安の霊験ありと信仰があつい。こ狛犬をかたどったお守りまで用意されている。

 いま本殿前に置かれているのはオリジナルの模刻だそうだ。実際はもっと小さいらしい。元は本殿内にあったものを、多くのかたが参拝できるようにと拡大したものを本殿前に据えたわけだ。さて、おもしろいのは左右が逆に配置されていること。あまりに不思議だったので宮司さんにお尋ねしたが、理由は分からないということだった。昔からこのように置かれているのだそうだ。

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2019.06.05、由岐神社本殿(鞍馬)

 狛犬には向きがある。正式には下図(左)のようになっている。

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(左)通常の狛犬の配置 (右)由岐神社の狛犬配置

 狛犬は直方体の角に顔の中心が来るように作る。台の長いほうが前になる。ところが左右を入れ替えると右図のようになる。台の短いほうが前にくる。ここの狛犬もこうなっている。だから最初から左右逆に作られたのではなく、途中から誰かが左右を入れ替えたことが分かる。ではなぜ逆にしたのか。

 狛犬は陰陽の対である。右の口を開いているほうが陽気、左の歯をくいしばっているほうが陰気だ。たいていの神社は南向きだから陽気の狛犬は陽気である東側に、陰気の狛犬は陰気である西側に置く。陰陽の気を正しく配置することで祈りの場を整えるわけだ。ここでは左右を逆にした。つまり陰陽が逆配置となっている。

 陰陽の逆配置はたまにある。陰陽が逆になるとどうなるのか。陰気のものは陰気側に陽気のものは陽気側へ帰ろうとする。この動きによって陰陽ふたつの気は中央で交わることになる。陰陽の逆配置の意味は陰陽の和合にある。そう考えればここの狛犬の左右が逆である意味は明らかだろう。陰陽の和合とは男女の正しい交わりをさす。妊娠出産を祈る神霊地にふさわしい配置であると言えるだろう。

 同じことは拝殿でも繰り返されている。6間の割拝殿という特異な形式は陰陽和合をテーマとしたところから生まれたと私は考えている。詳しくは次回に。

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養父市場の柏屋を描いた。

 つい最近まで鯉料理店として有名だったそうだ。養父市場は江戸時代から鯉の養殖で有名で鯉料理は郷土料理でもある。今でも年に一度小学校で鯉料理の調理実習をするそうだ。食文化は数百年をそのままの味で飛び越えることができるのですごい。

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2019.06.15/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、透明水彩絵の具/兵庫県養父市養父市場

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2019年6月16日 (日)

養父市場でスケッチ教室を開いた

 養父公民館のスケッチ教室、今月は養父市場というところへ行った。古い宿場町で本陣が残っていた。実演で描いたスケッチがこれ。10分ほど話しながら描いた。雨が降っているので絵の具が乾かないしあたりが暗くてよく見えない。でもこういうときは雨の日特有のにじんだ絵になる。それがおもしろいところ。

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2019.06.15/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、透明水彩絵の具/兵庫県養父市養父市場

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2019年6月15日 (土)

【上方探索倶楽部】旧山邑邸をスケッチした(5)

 今回じっくりスケッチして、この建物は完成していないことがよく分かった。それに気づいたのは広間と寝室部をつなぐ廊下にかかる三角梁だ(下写真)。これは帝国ホテルにある梁と同じで、本来はここへ石製のレリーフを張り付ける。同じことは2階応接間(下スケッチ)にも言える。ここは船底天井になるように梁が斜めにかけられていながら天井は平らだ。また応接間の天井際の小窓列の納まりも半端になっている。大広間正面の欄間もそうだ。ここはなにか特殊な欄間が入りそうなのに塞がれて何もない。さまざまなところで作りかけのまま終わっているように見える。工事のときライトは帰国していたし遠藤や南も東京だから足しげく現場を見たわけではないのだろう。図面がそろわず指示もない。分からないところはそのままにしたということ、なのかも知れない。

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2019.06.09/クロッキー帳A4、0.5シャーペン2B/兵庫県芦屋市「旧山邑邸」

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由岐神社拝殿の謎(3)なぜ奥行きが2間なのか

 6×2だと「水克火」となって意味をなさない。6×3であれば「水生木」となって子安の神域にふさわしい。なぜ3間にせずに2間としたか。これは柱数で読むのが正しいと思う。このあたりは常識というより工匠の仕組んだ謎と言えるだろう。

 西拝殿の柱は10本、東拝殿の柱は8本だ。10は土気、8は木気を表す。土気は他の4気を活性化させる土用として働く。つまり8と10とは土気が木気をさかんにするという呪術的意味があるのだ。通常、間口数で意味を構築するところを柱数に置き換えるのはイレギュラーだ。わたしの読み間違いかも知れない。それでも他に説明できないので仮説として掲げておく。

 さてこの拝殿のもっとも大きい謎は、なぜ階段通路がまんなかに無いのかということだろう。拝殿を6間としたところで「まんなか」は無くなるわけだが、別に東から3番目でなく4番目でもいいわけだ。なぜ東から3番目なのだろう。それを解くカギは本殿を守る狛犬にある。謎解きは次回に。
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2019年6月14日 (金)

恩師の絵

 亡き恩師の絵を見せていただいたので感想をメモしておく。

 それは色紙を細かく短冊状に切ったものをならべて貼って、それを長方形にカットしたものを貼り合わせて、さらにカットして貼り合わせたものだった。繊細でカラフルな見た目と違って制作過程はおそろしく単調で苦行のようなものだろう。わたしは数年かけて織り上げるというペルシャ絨毯を思い浮かべた。恩師はこれをいったいどのような顔をして作っていたのだろう。

 恩師は建築史家だったが、40代後半にパリへ赴き作家活動を始めた。何年か後にはさるコンテストでグランプリを受賞するなど注目を集めたが突然筆を折り周囲を驚かせた。わたしはクールなハードボイルドを決めこんでいた恩師が、その制作物が千日回峰のような苦行の産物でありながらカラフルで享楽的な色彩を帯びていくことに違和感を覚えたからではなかったかと思った。

 人は誰でもなりたい自分とあるがままの自分とのギャップに苦しむだろう。恩師は博識で話がおもしろくて人情にあつい、それでいて人一倍ストイックなかただった。大学の命運をかけた新設の大学付属のポスター美術館を短期間で国際的に名の通ったものに仕上げるという実績をあげた。その一方で作家として新たな歩みを始めた。恩師のなりたい自分とは何だったのか。

 恩師はかねがね美しさを成り立たせるのは哀しみだと言っていた。その表現に四苦八苦していただろうというのが絵から伝わる。哀しみの美学と言いながら、できあがるものは楽し気なのだ。そのギャップが許せなかったのかもしれない。しかし私はこのカラフルで楽し気な作品に苦行僧のような苦しみと哀しみを見ていたたまれなかった。これで十分哀しいですよと恩師が生きていたなら声をかけたいと思った。

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由岐神社拝殿の謎(2)なぜ6間なのか

 これは簡単で五行説において6は水を表す。ここは子安(こやす、安産)の祈りをささげる場所、つまり春を寿ぐ聖地である。春は五行でいえば木気、木気を育むのは水気だから本殿前に間口6間の拝殿を捧げれば木気の神様が盛んになって祈りが通じやすくなるだろう。

 この理屈は桃山時代の人ならすぐ分かったことだろう。陰陽五行説は日本文化の基調をなす常識だったから、拝殿を6間で造営する意味は作るほうも見るほうもよく分かっていたはずだ。明治以降、邪説と退けられて6間である意味は忘れられていった。本来このことは謎でなかったわけだ。

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 階段通路が東から3番目にあるのは3が木気を示す数字だからだろう。6と合わせて「水生木」(すいしょうもく)の相生(そうしょう)の関係を示す。相生とは水気が木気を生むということだ。

 西から数えれば4番目となる。4は金気の数字だから今度は「金生水」の関係を表す。正確に言えば4に土気の5を加えて9にならないと水気を生み出すことはできない。人体は土気だから拝殿に登る巫女や稚児などの貴人が5を担うのだろう。「水生木」と違って「金生水」は祭祀のときにしか発動しない。

 奥行きを2間にしたのはなぜか。2は火気なので「水克火」(すいこくか)の相克の関係となる。相克とは水気が火気を滅ぼすといういう意味だ。そのことと子安信仰とは関係がない。ならばなぜ2間にしたのか。それは次回に謎をとく。

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2019年6月13日 (木)

【上方探索倶楽部】旧山邑邸をスケッチした(4)

 こうやって見てくると、部屋と部屋、部屋と外部が自然につながっているところに山邑邸の特徴はある。このスケッチは屋上テラスからダイニングを眺めたものだが、4本の壁柱の並ぶポーチ部分が内部と外部をうまくつなげている。日本の座敷と庭をつなぐ縁側のような働きをしている。そしてこのテラスは大阪湾を一望できる屋上庭園なのだ。ライトが日本建築が大好きだったことがよく分かる。

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2019.06.09/クロッキー帳A4、0.5シャーペン2B/兵庫県芦屋市「旧山邑邸」

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2019年6月12日 (水)

由岐神社拝殿の謎(1)建物の紹介

 鞍馬山の由岐神社拝殿を久しぶりに見た。瀟洒な桃山様式でわたしの大好きな建築だ。ちょっと他所にはない形をしている。そのメッセージをある程度まで読めるのでメモしておく。

 まずは簡単に建物の紹介をしておく。

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 懸造り(かけづくり)と呼ばれる形式で舞台造りともいう。清水寺の舞台と同じ形式だ。その舞台を中央の階段通路がふたつに分けている。懸け造りの拝殿は室生寺奥の院でも見た。また左右ふたつに分けた拝殿は割拝殿といい御香宮にもある。でも懸造りであり、なおかつ割拝殿というのは見たことがない。

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 割拝殿は左右が同じ大きさで中央の通路も含めた大屋根をかけるのが普通だ。しかしここでは左右の大きさが違う。全体は6間あり通路は東から3間目にある。したがって西拝殿が3間、東拝殿が2間となっている。なぜこうなっているのか。

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 舞台の下は太い四角柱を貫で固めたものだ。石垣が3段ありそれぞれに柱が1列づつある。さほど高い舞台ではないが柱が太いのでなかなか迫力がある。上部の拝殿部分をわざと華奢に作って上下のコントラストを際立たせているのだろう。よくできている。

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2019.06.05

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旅に出ようと思ったんだ

 建築家鈴木喜一の放浪エッセー「ふーらり地球辺境紀行」を読んだ。世界を体験せよというメッセージに感銘を受けた。旅先で問題が起こると困ったなと思う反面いよいよおもしろくなってきたという。そんなとき必ず助けてくれる人が現れる。どこからともなく必ず現れるのだ。見知らぬ人の家に泊めてもらい家族ともにごはんをいただく。そんなことが普通にできた人だった。そうしたことを通してその土地の空気感のようなものを体得するのだという。歴史や気候に育まれた人の優しさに触れるという。そんな旅がわたしにもできるだろうか。

 というわけで鞍馬山まで小さな旅をしてみた。打ち合わせのあと時間が余ったのだが、その後のいくつかの予定をすっぽかしたくなったのだ。約束しているわけでもないし、自分が行かなくてもどうってことないだろう、それより旅に出よう、と思ったのだ。鞍馬山は打ち合わせのあった場所から叡山電車ですぐだ。途中スケッチしながら1時間後には鞍馬寺をお参りしていた。

 本堂には毘沙門天、護法魔王尊、千手観音がまつられる。それぞれに御賽銭を投げてお祈りをする。この果てしない日常に変化がありますように。今こそ運気が開いて豊かな明日が来ますように。ふと賽銭箱の上にみくじの筒が置いてあるのに気づいた。3つの賽銭箱に3本のみくじ筒。そのひとつから1本をひいた。頂戴したみくじにはこうあった。

「まず今日の溝をこせ。明日の僥倖(思いがけない幸せ)を予期するなかれ」(4番吉)

 ああ、やっぱろそうだよね。きょうすっとばそうと思ったいくつかの仕事先を思い出した。わたしもこの土地の歴史と気候に育まれた人の輪のなかで戻ろう。こうしてわたしは何食わぬ顔をして日常へ復帰した。ちなみにみくじの最後にはこうあった。「旅行、つつしみて行け」

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【上方探索倶楽部】旧山邑邸をスケッチした(3)

 ダイニングの暖炉上の装飾をスケッチしてここが本来にぎやかなデザインだったことが分かった。暖炉左右の石には45度斜線の陰から重ねられた正方形の模様が見え、まるで十二単のようだ。そのうえの木製の装飾は縦棒の左右にサイコロ型の木片が交互にとりつく。これはまるでタチアオイのようではないか。落ち着いた色目とはうらはらに、ここには賑やかで楽し気なデザインが踊っている。

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2019.06.09/クロッキー帳A4、0.5シャーペン2B/兵庫県芦屋市「旧山邑邸」

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2019年6月11日 (火)

【上方探索倶楽部】旧山邑邸をスケッチした(2)

 最上階のダイニングのインテリアを描いた。ここは他とテイストが違うのはなぜだろう。ライトはミッドウェイガーデン(1914)でお花模様や水玉模様をデフォルメしたメルヘンチックなデザインが炸裂するが、その余韻がこの部屋にも響いている気がする。思えば帝国ホテル(1915)がすでにその流れなのだろう。ちなみに旧山邑邸の竣工は1924年だが原設計は1918年にはできていたそうだ。

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2019.06.09/クロッキー帳A4、0.5シャーペン2B/兵庫県芦屋市「旧山邑邸」

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2019年6月10日 (月)

【上方探索倶楽部】旧山邑邸をスケッチした(1)

 丘の上にあって電車からもよく見える。駅前の芦屋川の土手で描いた。これで10分くらい。クロッキー帳もおもしろい。芦屋川を見下ろす立地はこのあと落水荘にも通じる。岩盤につかまるように建つ構造も似ている。今回の訪問でそんなことを考えた。

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2019.06.09/クロッキー帳A4、0.5シャーペン2B/兵庫県芦屋市「旧山邑邸」

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2019年6月 9日 (日)

阪急石橋駅前をスケッチした

 かみさんの展覧会の搬出のため石橋へ行った。時間があったので石橋商店街の入り口を描いた。前にかかっている橋は箕面川(みのおがわ)橋でらんかんが赤い。着彩するつもりだったが現場から電話があって中断したので無着色で仕上げた。スケッチはいつ終わってもよいように描けというのも鈴木喜一の教えだね。

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2019.06.08/マルマンスケッチブックA4、グラフィックペン0.3/大阪府池田市石橋

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2019年6月 8日 (土)

植物園でスケッチした

 スケッチ教室で植物園へ行った。細かい雨が降ったりやんだりする天気で緑がとてもきれいだった。ケヤキ林は下草がなく黒々とした幹が立ち並び、それが雨にかすむようすはとても美しかった。スケッチはテラスに座ってサクラを描いた。あまりに気持ちがよいのでこれ以上スケッチする気になれない。

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2019.06.08/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.3、透明水彩絵の具/京都府立植物園

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2019年6月 7日 (金)

15分間スケッチをした

 打ち合わせまで30分あったのでスケッチした。学生のころここへ座り込んでこの建物を描いた。3時間かかった。その後解体されこの部分だけ保存された。このコーナーの両側にフクロウに似た大きな装飾があったことを覚えている。

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2019.06.06/A4クロッキー帳、0.5シャーペン2B/京都市烏丸四条交差点

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2019年6月 6日 (木)

由岐神社拝殿(鞍馬)でスケッチした

 時間があったので鞍馬寺へ行った。久しぶりに由岐神社の拝殿と再会したのでスケッチした。桃山時代の美しい建築で不思議なかたちをしているのがおもしろい。わたしの大好きな建築である。ついでになぜこんな形をしているのかも分かってしまった。それは次回に。

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2019.06.05/A4クロッキー帳、0.5シャーペン2B/鞍馬「由岐神社拝殿」

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2019年6月 5日 (水)

空の研究 190604

 先日に引き続き積雲の群れを観測した。ひつじ雲と似ているが、あれは高度5000Mほどなので高さが違う。ひつじ雲が2000Mまで降下すればこんな風に見えるのかもしれない。ただの積雲なのだが、大量に発生することと、空が乾燥して透明度が高いことで不思議な空に見える。おもしろい。

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2019.06.04、京都市

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2019年6月 4日 (火)

ハガキサイズでもA4サイズでも同じ絵になる件

 これまでずっとハガキサイズで描いてきたが、昨年の展覧会で佐野先生から大きな絵も描いてごらんとアドバイス頂戴したので最近はA4サイズで描くことが多い。驚いたことに並べてみると大きさが違っても絵がいっしょだ。なぜサイズが変わったのに絵が変わらないのだろう。もっと大きなスケッチブックで試さねばならないのだろうか。


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(左)ハガキサイズ、(右)A4スケッチブック、2019.05.25

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(左)ハガキサイズ、(右)A4スケッチブック、2019.04.13

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(左)ハガキサイズ、(右)A4スケッチブック、2019.02.16

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2019年6月 3日 (月)

空の研究 190603

 梅雨入り前のこの時期にこんな雲が出る。高度2~3キロの低層を細切れの積雲が空を埋め尽くす圧倒的な侵略軍の宇宙船団のようにゆっくりと流れていく。そのはるか1万メートル上層に筋雲が張り付いている。綿雲のように見えるのはその中間の高積雲かも知れない。空気が完全に乾いており青空の色が濃紺で白雲を際立たせるのでまるで異次元の世界を見ているような気分にさせてくれる。とてもうれしい。

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2019年6月 2日 (日)

鈴木喜一「ふーらり地球辺境紀行」秋田書店2008

 建築家・鈴木喜一の「ふーらり地球辺境紀行」を読み始めた。鈴木先生は神楽坂アユミギャラリーの主だった。20年ほど前に武田五一写真展の会場をお願いしたときに知り合った。搬入の朝は大雪でようやくたどりついたギャラリー前で鈴木先生は一斗缶で焼き芋を焼いていた。ごあいさつしても「あー」とか「うん」とかいうだけで要領を得ない。変わった人だなと思っていると「焼けたから」といってアルミホイルに包まれた焼き芋を差し出してくれた。あれは今から思うとわたしたちが来るころを見計らって焼いてくださっていたわけだ。雪のなかを歩いて冷え切ったからだに焼き芋の温かさが染みた。そんな優しい人だった。

 鈴木先生に放浪癖があると知ったのはずっと後のことだった。聞いたこともないような国のスケッチを見せてくれる。酷寒の北欧でスケッチしていると青い絵の具が一瞬で凍って画用紙の上に青い半透明の膜ができる。それを砕いてジャリジャリした空を描くと話してくれた。スケッチに失敗はない。なぜならスケッチはそのときその場所に自分が生きていたという証なのだから。そんなお話も聞かされた。そんなスケッチ満載の紀行文である。

 Photo

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2019年6月 1日 (土)

「銀河鉄道の夜」の夜

 たんぼに水が張られて電車が写るようになった。まるで夜空を飛ぶ銀河鉄度のようだ。この時期にしか見られない貴重で不思議な風景である。



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