車中メモ
準急に乗った。休日の夕方で空いていた。向いに親子連れが座った。男の子は三歳くらい左手に新幹線をらしきものを握っている。プラレールで遊ぶようなずんぐりしたおもちゃだ。手のひらより大きいので握るというより掴むという感じだ。父親はやせて貧相な顔付きだが身なりはよい。
男の子は無口な上に表情がなかった。つねに口を半ば開いており、ものを見る時には顔ごとそちらに向ける。父親はガラケーを開いてなにか見せた。男の子はガラケーに顔を近づけてそれを見たがやはり表情は動かない。父親がこどもの耳元でささやくように言葉をかけた。男の子は父親を見上げたが何を言うわけでもなく座り直してまた新幹線を眺めはじめた。手首がうまくまわらないので首をかしげながら見入っている。
そのまま親子のことは忘れていた。気が付くと父親が眠っている。男の子はあいかわらず新幹線を眺めていたが、ふと父親が寝ていることに気づいたらしい。ゆっくり顔を近づけていって下から上を覗きこむようにして父親を見た。そのまましばらくじっと見つめていたが再び座り直して新幹線に戻った。表情がないため周囲に無関心のように見えるが、本当は父親のことを気にかけているのだろう。へぇと思ったのでメモしておく。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- わけあって禁酒している(2019.03.13)
- 風邪ひきタヌキ(2019.03.12)
- 京都駅には1番ホームがない(2019.03.10)
- ガルバリウム鋼板には不燃認定番号がある(2019.03.08)
- 「カルボナーラ」は炭焼き党のパスタだった(2019.03.07)
コメント