ギャラリーeyes「林真衣展」
昨年行けなかったので今年こそと思って見てきた。行ってよかった。とても気持ちのよい絵だ。
どんな絵かというと、大きな画面に緑だったり青だったり同系色が刷毛引きされていて、そのなかにチロチロと不定形なものが浮かんでいたり飛んでいたりする。見ていると、ハスの浮かんだ池だったり、雨に煙る山だったり、大きな滝だったり、そんな水っぽい風景が浮かんでくる。
見ているうちにその風景が次第に鮮烈になってきて、最後には雨音や水音が聞こえてくる。そんな絵だ。絵が大きいのもよいのだろう。その前に立つと、壮大な世界の前に立っているように思えてくる。
近づいてみると、小さな気泡を作ったり、絵の具を細かく撒き散らしたりと、いろんな工夫がされている。そうした細かい工夫が大きな画面いっぱいに展開して、ようやく大きな世界が立ち現れるわけだ。画面は大きいのに、解像度が高いわけだ。これは結構な力仕事だ。
奈良時代の坊さんの話を読んでいると、森のなかで生きた観音やら生きた薬師に出合う話が出てくる。それはやはり水っぽい場所で、滝の前の霧っぽい場所のようなところで出る。わたしはこの絵を見ていて、そんな不思議なものが現れる寸前ではないかと思った。また、もうすでに絵のなかにはそうした精霊のようなものが現れているのかも知れないとも思った。
絵は見ることは多いが、こんな風に体験できることは少ない。林真衣さんはそんな希少な作家だと私は思う。
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