【伊予旅行】11.臥龍山荘(1)
石垣がすばらしい。こまかくシワの入った岩を積み上げている。これを磨くと美しい縞模様になるが、ここは租面仕上げのままだ。出汁巻き玉子のようで柔らかそうだ。細長い石材もあるので粘板岩系なのだろう。それを積んだだけでもおもしろいのに、そこから木が生えている。木を取り込んだ石垣を初めてみた。これは仕方なくこうしているのではなく、おもしろがってわざとやっている。石垣にぽっかり穴を開け、木に負担をかけないようにする高等技術だ。なぜそこまでするのか。ここは木気の庭園だからだろう。
臥龍(がりゅう)山荘は肱(ひじ)川沿いの絶壁にある。中国の墨絵にあるような桃源郷の風景そのままだ。肱川が大きくS字カーブを切っており、その下流に大洲城、上流に臥龍山荘がある。山荘は大洲城の砦でもあったのだろう。
山荘前には広い河原が広がっている。S字の上流側のカーブだが、これが「大洲」なのだと思う。五色の石で覆われた美しい浜だ。この対岸で毎年秋に「芋炊き」という行事がある。夕涼みをしながら里芋の鍋をつつくらしい。東北の「芋煮会」とよく似ている。里芋は金気の象徴だろうから、これは金気を剋し木気を助け子安を祈る呪術に見える。だから木気の強い場所で行う必要があった。
河原には青石が露出している。よく見ると臥龍山荘の岸壁そのものが青石であり、崖下にある大岩の島も同じだ。青は龍に色であり木気を示す色でもある。だからここを木気の霊地とし臥龍、つまり龍が伏せる場所と名付けたのだろう。しかも大洲城の東に当たり、方角としても青龍にふさわしい。
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