市川裕子「デーセンター機関車」見学会、2016.03.13
建築家の市川裕子さんから案内をいただいたので新築の見学会へ行ってきた。重度の身体障碍者向けのデイケアセンターで定員20名ほどの小規模なものだ。コンビニ跡を改造したそうで明るい施設だった。感想をメモしておきたい。
黒い天井一面に色とりどりのさまざまな線が描かれていてとてもきれいだ。寝たきりの利用者が多いが、彼らは天井しか見えない。そこで利用者に描いてもらったものを壁紙に加工したそうだ。筆が持てないのでビー玉を転がして描いたらしい。うまく張り合わせてあって継ぎ目も気にならない。黒いため天井の低さを感じさせないし、なにより見ていて楽しい。これはとても良いアイデアだと思う。
ショップと介護スペースとは向こうが見える格子状の棚で仕切られているほか壁らしいものはない。着替えのときなどは諸所に用意されているカーテンを使う。だから全体がワンルームのようになっていて狭さを感じさせない。こうした施設は閉鎖的で暗いものが多いのだが、ここは明るくて風通しがよい。思い切ったデザインをしたものだと感心した。
そうした工夫がさりげないため、誰の目にもが当たり前の建築として映るだろう。それが彼女の建築の一番おもしろいところだ。おそらくその良さは何年か使ってみて利用者が初めて気がつくのではないか。よい仕事を見せてもらった。ありがとうございました。
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