2016年1月 9日 (土)

指示プレートの膠着化現象

 とある駅の表示だ。同じことが何度も書かれている。とりあえず「膠着化(こうちゃくか)現象」と名付けた。以前から関心のある現象で、駅、郵便局、銀行、医院など主に客だまりと呼ばれる待機スペースで発生する。なぜこうなるのか非常に興味がある。デザイン的に好ましくないという倫理的もしくは技術論に興味があるわけではなく、現象の示す意味に関心があることを断っておく。

Img_5920
2016.01.08

 この写真から分かることがひとつある。過去ログを消していないということだ。つまりここへ至るプロセスが全て保存されている。従ってこれを読み取ることですべてのプロセスをほぼ完全に復元できる。驚くことにここまで5段階を経ている。

Img_002_2

1.インターホンと非常ボタンが並列し、その上部にそれぞれのネームプレートが取り付けられる。
2.非常ボタンの表示を大きなものと取り換え、そのスペース確保のために非常ボタンの位置を下へずらす。
3.さらに大きな非常ボタン用の表示が取り付けられる。
4.インターホンの横にインフォメーション用であることを示す「?」マークの表示が付く。
5.さらにインターホン用に詳しい表示が付く。

 この過程は次の3つを原則として推移している。
1.次第に文字表記の多いものへ変化する。
2.詳しくなった一方とバランスをとるために本来説明不要であったもう一方も詳しくなる。
3.古い表示は基本的に残す。

 この現象は日本語の特徴と関係しているように思う。日本語は助詞を使っていくらでも長くできる膠着語だ。より精緻により複雑になっていく表示プレートの増殖は日本語の特徴と一致している。日本語が言いなおしや付け加えで長くなっても決して前の言葉が消えるわけではないことと、表示を更新しておきながら不要となったはず古い表示も残す方法と似ている。この現象は増殖しながら膠着していることが特徴なのだ。

 同じような現象は他でも見ることがでる。看板に覆われた雑多な都市景観やミニ開発が地域を覆い尽くすスプロール化なども根をたどれば同じ現象なのではないか。それを美的な見地から糾弾するよりは、その現象の仕組みを明らかにしコントロール下に置く方が有益であるように思う。案外新しい日本文化の萌芽は、こんなところにあるのではないかとも思っている。

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