2015年6月26日 (金)

建築探偵の写真帳 COCON KARASUMA(旧丸紅京都支店)

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2015.06.21

 古いビルの再生事例として評判の良いココンカラスマだが、私は不満がふたつある。最初に断っておくがデザインは上手いと思っている。その手際のよさは同じ烏丸通の新風館と同レベルだ。ここで言う不満とはデザインの良し悪しとは関係がない。

 ひとつは建物の見せ場を引き継がなかったことだ。この建物は黒御影石とステンレス製格子で飾られた玄関まわりに特徴があったた。上層部のそっけなさと玄関まわりの密度の高さとがうまく調和した建築だった。玄関ホールも古い部分がよく残っていたように思う。それを壊してしまったら建物の良さは台なしだろう。廊下のパーケットブロックやトイレのクリンカータイルをわざわざ残しているのもチグハグな感じがする。床材よりも正面玄関を残してほしかった。
 
 この建物は進駐軍の本部が置かれたことでも知られている。たとえば当時の映画を作るとすれば、この建物はそのままロケに使えたわけだ。玄関まわりはその意味でも失いたくない風景だった。おこがましい言い方だが、この改造には建物の歴史に対する敬意が感じられない。

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 ふたつ目はこの改造が建物を痛めたのではないかということ。窓の大きさの違いから正面の柱間は3つになると考えられる。ならばこの建物は上図のような中央のコアと外周の壁のセットの構造なのだろう。そうであるなら正面1階の壁を取り払ったことで構造上のバランスがくずれているように見える。地震時には壁の無い正面側が左右にぶれる動きをするだろう。その点は補強すれば大丈夫なのだろうが、わたしは構造上重要なところは触らないほうが良いと思う。

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