2015年5月17日 (日)

ワークワークファンタジア(108)

 王険城の南大門跡でオリとサンスはコムサや東市司とともに百済使を見送っていた。

「このことを晋国にどう知らせればよいのやら」

 そう律令官は苦笑いした。コムサは晋国、百済、高句麗のあいだで一度は盟約がなったことを話した。密使の最期も聞かせてやった。

「そうでしたか。いや、そうだろうと思っていました。ありがとう」

 百済使はどこかさばさばしたようすで帰路についた。員数も半減し馬も荷も輿もなかったが、それでも燃え残った旗を颯爽とかかげて去っていった。

「さて市場を再開するぞ!皆を集めろ!」

 コムサが東市司を連れ出した。

「市場と言ったって何も残ってないじゃないか」
「いいんだよ何もなくても、市場が開けば人も荷も集まってくるんだ」
「ああ分かったよ、引っ張るなよ、分かったから」

 東市司はコムサに引かれながらオリとサンスに手を振った。

「三巫女によろしくな!」

 市場はすでに復旧が始まっていた。市場は不思議だ。何も残っていなかったはずなのに、簡易な小屋が立ち並び始めるともう元のままのような活気が生まれる。そのようすを見てオリも心強く思った。

「さて、私も書庫の片づけを始めましょうか」
「何言ってんの?陰陽寮はもう無いのよ」
「サンスこそ何を言っているのです?陰陽寮は無くなったかも知れませんが陰陽道は残っていますよ」
「どこに?」
「だから私がいるところが陰陽道の道場です」

 サンスはあきれてオリを見た。オリはニコニコしながらサンスを見返した。

「それで、あなたはどうするのですか?」
「へ?わたし?」
「そうです。天湖へ行くのでしょう?」
「え?行ってもいいの?」
「良いも悪いも、もう役所は無いのですから、あなたはどこへ行っても良いのですよ」
「あっそうか!」
「ほら、迎えが来ましたよ」

 宮城のほうから倭人の巫女たちとポランらワイ族のものたちが戻ってきた。残った馬を引き渡してきたのだ。三巫女たちが走り寄ってきた。

「姉さまー!」
「一緒にワイまで行きましょう!」
「一緒に天湖へ行きましょう!」

 サンスは両手を広げて巫女たちを抱きとめた。

「ありがとう。一緒にフセを探しに行こうね」
「はい!(3人同時)」

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