2015年2月14日 (土)

建築探偵の写真帳 日銀大阪支店

 辰野金吾はたいがい弟子の誰かと仕事をしている。だから同じ辰野作品でもものによって結構違う。それは担当した弟子の個性が強く出るからだろう。これは葛西萬司が担当〈1902年竣工)した。わたしはこの端正な日銀大阪支店が好きだ。当時の若手はヨーロッパの流行に敏感だった。後に葛西の担当した旧第一銀行神戸支店(みなと元町駅、1918年竣工)などは相当おもしろいことになっている。1902年だとまだ弟子の個性が表に出ないのかも知れない。

 多少付け加えると左右対称の新古典主義建築でありながら尊大なところがまったく無い。ほぼ同規模の中之島図書館と比べるとそれがよく分かるだろう。玄関ポーチは小さいし、それを支える柱はわざわざ2本に分けて1本を細く見せている。まるで避暑地の離宮のようなたたずまいだ。これは辰野がベネティアが大好きな中世主義者だったからに他ならない。中世主義とは中世のゴシック時代を理想とする考えで統制よりも連携を重んじる。列柱を立て並べるようなルネサンス以降の新古典主義の真反対の考え方だ。この建物は新古典主義のくせに地味なので総じて評価は低い。でもそこがこの建物のいいところじゃないかと私は思う。


150213nitigin
2015.02.13

 

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