2015年1月29日 (木)

古民家の間取りがどれも似ている理由

 なぜ古民家の間取りがみな似ているのか考えている。地域ごとに間取りは違うという議論もあろうが、それは別の話なのでひとまずおいてほしい。

 その理由として最初に思いついたのは、生活スタイルが似ているからだろうということだった。生活スタイルが似ているから生活の器たる民家も似ると考えたわけだ。しかしこれには無理がある。今の民家形式が現れて約1000年、いくらなんでも生活スタイルは変わるだろう。実際、古民家は時代によって変っていく。しかし変化しながらも間取りはよく似ているのだ。

 家族構成もまちまちだし、生活スタイルも人によっていろいろあったはずだ。それでもかたくなに同じような平面を守り続けるのはなぜか。それは誰が使ってもよいようになっているからではないだろうか。つまり、どんな家族構成、どんな生活スタイルであっても住居として使える汎用型平面だというわけだ。

 現代は「自由な間取り」と称して好き勝手な平面を考え骨組みを後から無理やり当てはめることが多い。しかし現代の間取りも結構よく似ているのだ。不動産屋さんの掲示板を見れば、どれもこれもよく似ていることが分かるだろう。つまり、誰が買ってもそれなりに使える平面というものは必然的に似ていくのだ。

 住居は本来何世代にもわたって住み続けられるものだし、伝統的な木造であれば100年は優に使える。そのためには誰でも使えるようにシンプルな間取りにしておくことは大事なことなのだろう。考えてみれば、それが一番自由なのかもしれない。

 

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