2014年11月 2日 (日)

中国旅行記(6)小河直街

 もう書くことはあまりないのだが、最終日に行った小河直街(ショウカチョクガイ)のことなどメモしておきたい。

 小河直街は観光パンフレットには必ず出てくる歴史地区のひとつでぜひ見てきたいと思っていた。誤算だったのはキャリーバックが重かったこと。700ページ以上ある分厚い論文集が2冊と記念品の青磁皿が重い。チェックアウトした後なのでそれをゴロゴロ引いて出かけることにした。


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2014.10.18


 ホテル前でタクシーを拾った。地図を見せるとすぐに分かってくれた。小河直街は大運河に通じる小さな川沿いの村だった。古い町は100メートルほどで、河坊街と同じように壁の中に木造でできている。1階は漆喰塗りで2階は木造のバルコニーとなっていてとても美しい。まるでスイスの古民家のようだ。ここは今も人が住んでいるので生活感が残っているのがおもしろかった。


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手前が醤屋、その奥が一番古いところ


 元は平屋建てだったものを2階建てに改造したように見える。修理中の建物があったが隅柱は通し柱だったので、平屋に2階を継ぎ足したのではなく作り直したようだった。2階建ての旧胡雪巌邸が19世紀後半のものだったから、そのころ杭州が栄えた時期があって町の風景も2階建てに変ったのだろう。


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 通りの真ん中に醤(ひしお)屋があった。醤とは醤油の一種だが穀醤ではないかと思う。この店の前は船着場になっていた。醤屋は酒場も兼ねていたそうだ。わたしは杭州は塩の産地だったのではないかと思っている。大運河が北京から杭州まで通じたのは塩の流通のためだったのではないか。村の真ん中に醤屋があるのもそのことと関係しているのかも知れない。


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船着場の向こうに見える平屋が醤屋


 川との関係がおもしろいと思って観察してみると護岸に違和感がある。船着場も護岸も今回の歴史遺産登録のために整備したもののようだ。そういえば船着場は水面の上下に追随できるよう川へ向かって下りていく階段が一般的だが、ここはそうでないのが不思議だと思っていた。歴史的な復元ではなく観光用の展望テラスとして設計されているのかも知れない。もしそうだとすれば少し残念だ。


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瓦はこんな感じで日本とは少し違う


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現代版町家、RCで3階建て、デザインはとてもよい、木造だったらなお良かったと思う


 スケッチ(参照)した広場には共同井戸があった。村はこんなふうに井戸のある広場を中心に作られるのだと思う。そこはレンガ造りの旧役場前の広場で、このあたりは100年ほど前に開発された比較的新しい街区だそうだ。ずっと新聞を読んでいるじいさんがいて、時折顔見知りが声をかけていく。お年寄の居場所がここには残っていると感じた。お昼前になると次第に観光客が増えてきた。そのほとんどが国内の家族連れで必ずお年寄りが加わっていた。彼らはたいてい何か果物を食べていた。歩きながらお年寄りも子供も果物を楽しそうに食べていた。


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赤い洗面器の下のタルのようなものが共同井戸


 このあと大運河沿いに南へ進んで大兜路歴史街区という運河の関所のあった町を通った。この街区は復元率が高いように思った。もちろん伝統木構造によるものなのだが、最初からレストランとして設計されているようで、ここも歴史的な復元というわけではないようだった。ちょうどイベントの最中であまりの人出だったので早々に退散した。歴史街区の裏側は古い団地だった。1960年ごろの4~5階建くらいの団地だが空き家が多く、残っているのは高齢者が多いように見えた。おばあさんが団地の中庭にシートを敷いて座り野菜を切っていた。やせた犬が寝そべり、大きな鳥の鳴く声がずっと聞こえていた。ここもいずれ超高層用地となるのだろう。

 もしわたしが現代杭州の建築的研究をするなら住環境の変遷をテーマにするだろう。ここほど過去から現代まであらゆる住宅形式の揃っている場所は少ないと思う。町の風景は急激に変わりながら、生活スタイルはそれほど変わったようには見えない。これから大家族から核家族に家族形態が変わるにつれて本当の変化が現れるはずだ。それは日本が経験してきたことと似ているが、多分まったく違う変遷をたどるのだろう。そのことに今とても興味がある。楽しい旅をありがとう。


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