2014年11月14日 (金)

木津川アート(3)里山系・西宮神社と漁協

 今回わたしがもっとも気に入ったのは西宮神社と漁業組合だった。このあたりで何人か私を知っているかたに声をかけていただいた。口べたなのでちゃんとあいさつもできなかったが、覚えてくださる方があることがとてもうれしかった。ありがとうございました。

 松尾謙
 神社の参道に音の仕掛けがあって、そこで手を叩いたり声を出すと木霊(こだま)が発生する。きれいに木霊するようすは神秘的だった。あまりに神秘的で本当に神様を呼んでしまうのではないかと思い私は手を打つことができなかった。音は場所そのものかも知れない。不思議な体験をした。ありがとう。

 志村陽子
 拝殿いっぱいに白いの菌類のようなものが生えている。これも神秘的な感じがした。神社が山の中腹の木立のなかにあるため、深い森のなかにいるような気持ちになる。流れる空気のにおいも冷たさも集落のものとは違う。そうしたこの場所の特性をよくつかんだ作品だと思った。

 西宮神社はエビス様をお祀りするそうだ。ここでは毎年コイを奉納するという。エビス様は鯛を持っているからそのかわりなのだろう。きっちりとお参りをしておいた。

 城戸みゆき
 プラスチック製の散りレンゲでハスの花、つまり蓮華(レンゲ)を作っている。とても器用だ。それが宙に浮いたようすは本当に蓮池が出現したように見える。古い漁協の薄暗がりの中からハスの花に覆われた極楽浄土が立ち上がるようすがおもしろい。わたしは作品は場所と作家との共同作業だと思う。力のある作家はポンプのように場所のエネルギーを組み上げることができる。これはそんな作品だと思った。

 堀川すなお
 ここに落ちていたスチロール製のウキを青エンピツでスケッチしている。部屋中に繊細なスケッチを貼っている。これには驚いた。部屋中が青いウキのイメージで埋め尽くされると、かつてこのまわりに広がっていたというコイ養殖場のまぼろしが見えるようだった。
 堀川さんがモデルとなったウキを見せてくれた。そしてここが元は養殖場であったことや西宮神社のコイの奉納のことなど聞かせてもらった。30年前にここに住んでいたかたが訪ねてきてとても懐かしがっていたそうだ。聞いているうちに次第に当時のようすが目に浮かんできた。彼女の作品はウキのスケッチではなく、この暗い部屋でスケッチをしながら訪問者と会話し、そのことを通して古い記憶をよみがえらせることだと思う。彼女の作品こそ今回の木津川アートのテーマである「百年の邂逅(かいこう)」にふさわしいだろう。

(つづく)

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