2014年10月20日 (月)

中国旅行記(3)市内観光・西湖めぐり

 シンポジウム3日目は見学会だった。現代建築コースと市内観光のふたつが用意されていた。わたしは迷わず市内観光を選んだ。ともかく古いものを見たかったからだ。現代建築組はバス3台で意気揚々と出発していった。我々のコースはバス1台に11名だった。少人数だったので他国の人と交流ができた。まさか外国の人と話ができるとは思っていなかったのでうれしかった。

 午前中は中国随一の観光地にして世界遺産2011年登録の西湖周辺をまわった。これがとてもおもしろかったのでメモしておく。

 湖には小型の屋形船から竜をかたどった大型遊覧船までさまざまな船が行きかっていた。私たちは北岸から入ったが、そのあたりには20世紀初頭と思われる洋館が立ち並んでいた。そこから南岸まで天橋立そっくりの湖上の遊歩道がつないでいる。ああこれは天橋立と同じような信仰があったのだろうと思ってわくわくした。

 西湖の地形は「一山三堤三島五湖」と呼ばれるらしい。一山は自然の島である孤山、三堤は今述べた湖上道路、三島も人工島の3つ、五湖は西湖も含めて5つの湖があるという意味らしい。三堤は人工堤だというが、おそらく元々は自然の砂州が道路状に伸びていたのを整備したものだろう。

 我々は西湖北岸の孤山付近の船着場から40人乗りほどの遊覧船で南岸をめざした。この日は霧が出ており風景がかすんでとても不思議な感じがした。湖上は少し寒かった。デッキのベンチにあぐらをかいて呆然と風景を眺めているとき筑波大の留学生ハン君が話しかけてくれた。これをきかっけに参加者と話すことができるようになった。ハン君ありがとう。

 ここが有名なのは中国4大説話と言われる白蛇伝の舞台だからだ。私は全く知らなかったがハン君が白いヘビの物語があると教えてくれた。帰って調べてみるとこんな話だった。

 白蛇とその伴の青蛇が人間になって西湖へやってきた。白蛇は薬を商う若い男と恋に落ち結婚する。しかしとある坊さんが白蛇の正体に気づき男に告げる。男は半信半疑ながら飲めば正体を現すという酒を白蛇に飲ませたところ、坊さんのいう通り白蛇に変化したので驚いて死んでしまう。白蛇は崑崙山へ行き特別な薬草を奪ってきて男を蘇生させた。その後ふたりは幸せに暮らしていたが、白蛇を退治すべしと考えた坊さんが男を寺に連れ去ってしまう。白蛇はみもごっていたが男を連れ戻すため寺を水攻めにした。しかし戦に負け箱に詰められて雷峰塔の下に閉じ込められてしまった。白蛇は封じられる直前に男と再会することができ、そこで男児を出産した。西湖の水が干上がり雷峰塔が倒れるまでは封じ込まれているという。

 船は三島を次々と通過した。最後の小瀛洲(ショウエイシュウ)が最も不思議なかたちをしていた。地図で見ると湖上道路を田の字プランにまとめた人工島らしい。その南側に有名な「三潭印月(サンタンインゲツ)」がある。3つの灯籠が湖上に建っており、ハン君の話によればここで月を見るらしい。私はそこが龍穴なのだと思った。雷峰塔の「雷」は龍のことだし、この湖の底に竜宮があって白蛇はそこに棲む龍女なのだろう。湖上から見る塔は霧にかすんでとてもきれいだった。

 我々は南岸の雷峰塔のほとりで上陸した。雷峰塔は王子誕生を祝って977年に建てられたという。この塔は1924年に倒壊し現在のものは2002年の再建だ。世界遺産登録へ向けての環境整備の一環であろう。現在の塔は元の倍の高さがあるように見える。エレベータで昇る展望台になっており宗教色は無かった。八角五重の塔だが、階上でiPhoneのコンパスアプリを起動してみると方位がずれていた。方位なんて何とも思っていないのだろう。

 この塔が八角形なのは。8が誕生を意味する木気の数字だからだろう。木気は3、8、11が象徴するが、龍穴の灯籠が3なのも木気を示すと思われる。3は生数と言って生まれたての木気だ。まだ生まれたてなので完全ではない。3は土気の5が加えられて完全な木気8となる。では5はどこにあるのか。3つの灯籠が指し示す方角は南南西だ。これは最大の土気の方角なのだ。

 これも帰ってから分かったことだが、月を見るのは仲秋8月のことらしい。仲秋の名月は最強の金気だ。深夜3つの灯籠にともされた火は湖水に映って6つに見えるだろう。6は水気の完全数である。このとき金と土と水とが揃う。これは五行説の「金生水」を応用した子安と再生の呪術だと思う。龍女の8に対して最大の水気をお供えすることで誕生と再生への祈りをささげる聖地を用意するのだ。考えてみれば西湖を構成する「一山三堤三島五湖」も、水気の生数1と木気の生数3と土気5の組み合わせなのだ。雷峰塔は5重であることも土気を象徴している。

 わたしはここで室生寺の塔を思い出す(参照)。この塔にも龍が封じられていた。その後背地には賽の河原が広がる。誕生せずに亡くなった命を水子と呼ぶのは誕生を用意する水の状態のままだという意味ではないか。三途の河原で子が積む石は本当は土気を示すレンガで、それが5つ積みあがったとき生数の1から6へ昇格し木気を生み出す力が発動するのだろう。

 ちなみに白蛇の白は一白水星の水気を象徴し、青蛇の青は三碧木星の木気を示す。白青の組み合わせで水生木の関係を示しているようだ。三碧木星は洛書の雷に当たることも辻褄が合う。今回の読み解きは結構分かりやすかった。よい旅ができたことと、現地で親しくしてくれた友人たちに感謝する。


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西湖から望む雷峰塔

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龍穴と思われる小瀛洲(ショウエイシュウ)

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雷峰塔

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元の雷峰塔の遺跡

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雷峰塔から眺めた西湖、奥に湖上道路、左に小瀛洲(ショウエイシュウ)の半分が写っている。

 

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コメント

ご無沙汰しています。
中国旅行記、楽しく拝読いたしました。
風水はアジアの各国で関心が高いようですね。
マレーシアでも盛んと聞きました。

中国はもう30年も前、学生の頃に北京に2ヶ月ほど
滞在しました。
それ以来、縁がなく、まあそのうち行くかもです。

つきたぬ様の帰朝報告会を開催せねばなりませんね。

ではまた。

投稿: 空蝉 | 2014年10月21日 (火) 22時47分

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