2014年3月16日 (日)

摂南大学住環境学科 2回生CAD演習「ちいさなカフェ」作品展示会

 2年生の作品展を見てきた。16点が選抜されて展示されており、選抜から漏れた学生作品はファイルされて卓上にあったが、ほかの方が閲覧中だったので残念ながら私は見ることはできなかった。きっとそちらにも楽しい作品があったことだろう。

 わたしは学生作品を意欲、建築力、表現力の3つに分けて見るように心掛けているが、学生時代にもっとも大事なのは意欲なのではないかと最近考えている。学生時代とは建築の世界をよく知り生涯続けることのできる職業かどうか覚悟を決めることが一番大事だ思うからだ。その意味で今回の作品展は意欲あふれる作品に恵まれていたので見ていて楽しかった。16作品しか見ることはできなかったが感想をメモしておく。例によって勘違いが多々あると思うがご容赦願いたい。


< 個別に > 外国語表記はわたしの一存でカタカナ書きに改めている。

ラ・フィロソフィ 
図的には表現されていないが「懐古調」のインテリだと説明があるのでイメージはできあがっている。バロックの図書館を思い浮かべた。それが哲学とどう関係があるのかは分からないが、建築は説明できるかどうかよりも、イメージがあるかどうかのほうが大事だと思うのでこれでよい。

ジャズカフェ
これも図的には分からないが「モダン」なインテリアだと言うからイメージはできあがっている。ジャズなら合理主義的なモダンよりもアメリカ南部のアメリカンクラシックだろうと思うが、これもイメージができあがっているのでこれでよい。そのうえでスタイルの持つ歴史性をアドヴァイスするべきだと思う。

アウステロン
絵を描くカフェという着想がおもしろい。タイトルのAusstellungとは展覧会という意味だそうだ。3Dもうまい。

宇宙カフェ
ホールのテーブルとイスが連星に見える。天井のペンダント照明が星になっていておもしろい。建築力のある作品だと思う。京都商工会議所のホールを思い出した。床に十二支を配し、吹き抜けのシャンデリアが星々となり「天地」を表しているとわたしは思う。それと似ている。

えほんカフェ
上下足分離、本棚の配置、大人の居場所など気になるが、イメージはできあがっているのでこれでよい。最近の図書館の絵本コーナーや幼稚園などのデザインは結構やんちゃになっているので参考になるだろう。

カフェおもいで
「おもいで」ではなく「おもひで」ではないかと思ったが些末なことだ。教室カフェという着想がおもしろいしイメージもちゃんとできている。この作品に合わせて会場のカフェコーナーで給食セットをいただけるのもよく考えられた演出だ。建築は食べ物につながると俄然おもしろくなる。

病院カフェ
これは怖い。イメージはできているのでこれでよいと思うが、わたしは怖い。そう思わせた時点で作品としては成功しているのかもしれない。

ウォータ・カフェ
レジがどこにあるのか気になるが、窓側に厨房を置いて外を見せないプランはありだと思う。そのおかげでホールが細長くならずにまとまった形にすることができた。水と竹という素材に着目しているのもおもしろい。素材への興味はぜひ実物を通して確かめてほしい。

スターリットスカイ・カフェ
スターリットスカイとは星空のことだそうだ。天井にプラネタリウムを投影する星空カフェという着想がおもしろい。むつかしいと思うが建築的に実現可能だろう。「浜村渚の計算ノート」に出てくるホテル・ド・フェルマーのバー・ラクランジュもしくはSFの「宇宙の果てのレストラン」を思い出した。

和カフェ
和風のカフェでイメージとしてできあがっているのでこれでよいだろう。和傘が配置されているのがおもしろい。これは野点の風景だと思った。畳もよいが桟敷に緋毛氈的な展開もあると思う。バルコニーを庭にしたのが上出来だ。

WA・カフェ
前庭にしたのがおもしろい。厨房を壁で隠したのもよく考えていると思った。掘りごたつを使う着想もおもしろい。

一人カフェ
柱を並べてホールの一角を緩やかに仕切る方法がうまい。ホールに直径1.2メートルの巨木が天井まで達しており、これがカフェを印象づけている。1本にすると世界樹としての象徴性が発生するので、インテリアとして考えるならば巨木は複数のほうがよいと思うが、象徴性そのものが作者の意図だとすればこれでよい。もしそうなら世界樹と孤独との関係など聞いてみたい。

カフェテリア・ヴェンターナ
ヴェンターナは窓という意味だそうだ。室内に窓付きの建物がはまり込んでおり、客席ホールは屋外テラスだという趣向だ。多少狭いところもあるがイメージとしてできあがっているのでこれでよいと思う。建物内建物という着想がおもしろい。

543(こよみ)
543の意味がよく分からないが、坪庭を中心にした座敷型カフェだ。窓際に厨房を置き外を見せない計画で、ちゃんとレジもあってプランとしてよく考えられている。少し広めの沓脱に石を敷き詰めてあるのもおもしろいと思った。

こもれびカフェ
木を使った内装をイメージしている。素材について関心があることがとても良いと思う。恥ずかしながら学生のころの私はそのことに気づいていなかった。素材への関心はとても大切なことなので、ぜひ実物で確かめてほしい。色や形だけではなく、手触りや香り、削ったときの柔らかさ、柱や梁として組んだときの力強さなど確かめたいことは山ほどある。

駄菓子カフェ
着想がおもしろい。古いものへの興味もとても大切なことだと私は思う。写真にあるガラスふた付き木製菓子箱がとてもよい。菓子はハリーポッターのパーティシーンやメリーポピンズの路地奥の菓子屋など、どこか魔法じみたワクワク感がある。それは日本の駄菓子屋さんでも同じで、菓子がもとは祭祀にかかわるものだったことと関連しているのだろう。


< 課題として >
  
 この場合もっとも大事な設定は、ここが何階で窓から何が見えるのかということだと思うが、そのあたりはどうしていたのだろうか。各自の自由設定だったのだとすれば、作品でそのことへ言及したものが見当たらなかったのはどうしたことだろう。

 マンションの一室という設定だと制約が多い。店舗と住居の同一階混在はありえないから、ここは店舗専用階なのだろう。そうすると上階に住居階があるわけだから、営業上の制約が厳しいと思われる。ほかにも、天井の低さなどの構造的な制約や、どこに配管するのかという設備的制約もある。もしこれが分譲マンションだとすれば専有部分はどこまでなのかという法的な制約も発生する。カフェをイメージさせるだけの課題であれば、マンションにこだわらなくて良かったのではないか。


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2014.03.15、会場の京都チルコロ

 

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