京都建築専門学校2013卒業設計展「つなぐ」
京都駅前の住宅展示場の平成の京町家で開かれている卒計展を見てきた。1時間ほど見ていたが、いくつか感じたことがあるのでメモしておく。
一番おもしろかったのは、森の中の図書館計画。等高線に配置され段々畑のように湾曲しながら重なる建築はとてもきれいだ。もうひとつおもしろかったのは、曲面で構成された工房村計画。波打つ壁は最近の流行のひとつで、流行にとらわれるとまとまらないことが多いのだが、この計画はそれをうまく使いこなしていた。階高の設定や吹き抜け部分のと階段の見え方など、よく考えられている。パースもうまいと思った。あと印象に残ったのは絵本仕立ての幼稚園計画書だ。こうしたプレゼンは貴重だと思う。
図面の掲示枚数の制約から、平面図、立面図、断面図を揃って見ることのできない作品が多かった。図面は一般人には分かりにくいという者がいるが、わたしはそうは思わない。この3つを見せてもらえると、展覧会はもっと楽しくなると思う。ちなみに平面図の描き間違いが2ヶ所あったので学生に伝えておいた。
摂南大学の卒計展の感想でも書いたが(参照)、円形プランは避けたほうが良い。それと、社会問題に深入りすると建築が形になる前に時間切れになる可能性が高い。このあたりは指導教員の考え方次第なので、必ずそうしろとは言わないが、わたしはそう思う。それは数年前にここの卒計展を見せてもらったときにも感じたことだ。
「つなぐ」というテーマをそれぞれが考え込んでいることが伝わっておもしろかった。卒計は建築単体で考えてしまいがちだが、そこから町への広がりを感じさせる作品が多かったのは共通テーマのおかげだろう。テーマは卒計を考える始めるきっかけになるので良い取り組みだと思った。
平成の京町家が会場であるのも良かった。少し薄暗いくらいが落ち着いて作品を見ることができる。この会場そのものが京都建築専門学校の作品だから、学校でどんな教育が行われているのかよく伝わった。この展覧会こそ学内の教育と町とを「つなぐ」ことに成功している。楽しい展覧会をありがとう。そして卒業おめでとう。
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