建築探偵の写真帳 京都商工会議所玄関ホールの十二支
今喫茶コーナーになっている玄関ホールにモザイクタイルがあることは知っていたがデザインが奇抜なので後補であろうと見くびっていた。よく見るとモザイクと石張りの境目に手を加えた跡はなく床仕上げと同時にモザイクタイルが貼られたことが分かる。さらに絵柄は星座十二宮であろうと勝手に思い込んでいたがよく見ると十二支じゃないか。と2度びっくりした。
実際のデザインもしかるべき方だろうが、商工会議所の玄関ホールに十二支を配することを提案したのは建築家の富家宏泰だったかも知れない。ここにこれがあることの意味があるはずだし、それは建築全体に関わるものであろうから、提案できるのは建築家しかいないではないか。
まんなかの丸いのは太陽だろう(写真右)。8本の光条は八卦を示すのかもしれない。四神相応とうたわれた平安京を連想させる。十二支とは方位に従った正しい空間構成と豊かでおだやかな時間の巡行を意味する。このモザイクにもそうした願いがこめられているように見える。
そう思って改めて見渡してみると、風変わりな天井照明も宇宙の星々をイメージしているように見える。床が古代の宇宙観で天井が現代のそれであるわけだ。歴史と未来との出合いこそこのホールのテーマなのではないか。
床はトラバーチンのような大理石だ。目地にも同じ石の破片を混ぜて研ぎ出しているように見える。丁寧な仕事ぶりだ。
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