2013年5月 6日 (月)

五行説メモ 大社造り

Izumo

 これが出雲大社の平面図だ。御祭神のオオクニヌシは大黒天と習合(同一視)していたから、まんなかの柱が大黒柱なのだろうと私は思う。柱を祀る形式は祇園祭りの鉾(ほこ)と同じだ。古事記によればイザナミとイザナギは柱を回って世界を生んだ。つまりこの社殿は世界樹の神話的類型をなぞっているように見える。よく分からないのは、その大黒柱から東へ向けて壁があることだ。社殿のなかに壁があるのは珍しいがその説明を聞いたことがない。それについて考えたことをメモしておく。

 まず分かっていることを確認する。入り口が正面の右側にあるのは、この社が陰であることを表しているのだと思う。梅原猛は、怨霊が中から出てこないように社殿の中央に柱を入れたとするが、それならなぜ入り口が右側だけなのか説明がつかない。右は陰、左は陽と決まっているのだから、ここは単純に社殿の性格が陰であることを示しているとして良いと思う。

 ここからが今回の考察だ。壁の効果はふたつある。ひとつは入り口から祭壇が直接見えないこと。そんな社殿は普通はない。わざとそうしているのならば、これは冥宮(めいきゅう)の構造を示すのだろう。冥王ミノタウロスの棲むクレタ島のラビュリンスは迷宮だったが、これは見通しがつかないという迷宮のイメージが冥宮に相応しいと考えられたからだろう。冥とは暗いという意味だ。出雲大社の社殿もこれをなぞっているように見える。


 社殿に九星図を適用したのが上図だが、壁があるため神主は正面右側入り口から入ったあと右まわりに祭壇へ向かうことになる。この回転は季節の運行をなぞることになる。九星図は正式には洛書後天図といい、これは天球上の太陽の運行、つまり四季を表す。一覧にすると次のとおりだ。

 南 (火)=夏至
 南西(地)=立秋
 西 (沢)=秋分
 北西(天)=立冬
 北 (水)=冬至
 北東(山)=立春
 東 (雷)=春分
 南東(風)=立夏


 おもしろいのは地ー中央ー山の3つの属性は土気であり、陽気(木気と火気)と陰気(金気と水気)を土気が隔てていることだ。土気が土用(土気の作用)として陰陽(季節)を動かすという考え方の表れなのだろう。「山」は古い1年が死に新しい1年の生まれる場所である。そこにある祭壇は太陽再生の祭祀の場所なのだろう。

 易の64通りの卦(か)のなかで「天沢履」と「地山謙」は最上級の卦だ。わたしは出雲大社は地山謙の卦でできていると思う。謙とは謙譲のことで、天子への絶対的な服従を示す。オオクニヌシがヤマトに対して絶対的な服従を誓い、その代償としてオオクニヌシの子のコトシロヌシ(=エビスに習合)が諸手を打って海へ身を投げたという神話は「地山謙」の卦から発想されたように見える。壁を設けることで山を囲い、陰気の側から太陽復活を祈るのが大社造りのプランの意味ではないか。

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