建築探偵の写真帳 戦後ビル編 大名古屋ビルヂング
こみちさんが話題にしていた大名古屋ビル(参照)へわたしも行ってみた。思いの外おもしろかったので紹介しておこう。三菱地所設計、大成建設施工で1962-65年の3期に分けて完成した。伊勢湾台風の復興再開発の目玉で、店舗事務所複合の本格的なビルとして建設された。現在建て替えのためにテナントの退出中で、1階で9月23日まで写真展を開催中だ(参照)。図面も展示してた。
ラインの美しさなかなのものだ。角をほとんど丸くして、横長の窓を途切れなくまわしている。裏側のほうが曲線が美しい(写真上中右)。
驚いたのは1階のエレベータホールだ。白黒の大理石をふんだんに使っている。普通はタテに開いて貼り付けるのだが、ここのような横開きはあまり見ない。そのおかげで水平線が強調されて、軽やかな印象に仕上がっている。ヨコ方向の強調は外観と同じだね。
大理石壁は階段室にも及んでおり、それはもう不思議な雰囲気を作り出している。階段室のコーナーも丸くして、丸く削った大理石を貼り込むという芸当をなんなくクリアしている。作った職人もえらいが、全体を管理した現場代理人もえらいな。復興への意気込みが伝わる。
エレベータドアのまわりは天井までのモザイク絵で、ホールの大理石が白黒なのとよく響きあっている。作家のことをよく知らないのだが、矢橋六郎という人の作品だそうだ。力強くて気持ちのよい壁画だ。香川県庁舎でも思ったが、50-60年代にはこういう作家が普通にいたのがすごい。
写真上左は吹き抜けに取り付けられた電気時計。こういうさりげなさもこの時代の特徴だね。ゆかは人造石の現場研ぎ出し、いわゆるテラゾーというやつだ。色モルタルで床のラインを作っている。黒と赤のあいだは目地棒の巾を広くしている。こんな使い方もあるんだな。勉強になった。
サッシュはステンレスだと思うが、それは竣工当時のままだと思う。ガラスが少し青いのは熱線吸収ガラスだろうが、それも元のままではないか。だとしたら初期のものなので珍しいと思う。問題なのは外壁パネルで、どう見てもやりかえたとは思えなかった。それぐらいよくなじんでいる。ところが写真展を見ると、元は白いタイルだったのだ。うそー!と思ってよく見たところ、屋上のペントハウスが元のままだった(写真上中右)。タイルのほうが陰影があっていいな。
急な名古屋出張があったのでついでに寄っただけだけど、良いものを見せてもらった。大名古屋ビルヂングありがとう。
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