2012年8月15日 (水)

さぬきメモ(05) 井筒屋敷2

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2012.07.23、香川県東かがわ市引田

 茶室の欄間に廻船が映っている。こんな欄間は見たことがない。裏から見れば松の形の小窓に丸木の組子細工があるだけだ。すごいな。

 井筒屋佐野家は戦国時代から続く引田(ひけた)廻船衆3家のうちのひとつだそうだ。廻船衆は平時は交易に従事し、事が起きると結集して海戦に向かった。平和な江戸期になって構築された大型廻船ルートを動かしていたのも彼らだ。交易で得た資本を彼らは工業へ投資する。港町に醸造業が立地するのはそのためだ。それは内陸部であっても同じで、その場合は河川流通の拠点であることが多い。


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(左)井筒屋敷(中)茶室(右)茶室欄間

 さて佐野家は江戸時代に醤油醸造を始めた。酒づくりに手を伸ばすのは大正時代に入ってからだという。いつまで醸造を続けていたのだろうか。東かがわ市のHPによれば1996年ころには空き屋となり、地元の保存運動の結果1999年に引田町(現東かがわ市)が買い取った。


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左から、竹、竹、松、松

 茶室濡れ縁の欄間もおもしろい。松竹梅の透かし彫りが数セットあるが、ひとつとして同じものがない。明治以降のものと思うが、図案がかわいくて細工がしっかりしている。おそらく以前は庭越しに浜辺の松林が見えたことだろう。波音と海鳥の声を聴く茶席だったはずだ。海と寄り添って生きてきた佐野家にふさわしい。海の見える風景をほこりに思う気持ちが伝わってくるではないか。

 最初に訪れた和三盆の三谷製糖でも感じたが、このあたりには郷土を大切にする心とそれを表現する茶道のような文芸が残っている。これがさぬきに対する第一印象だった。

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