2012年8月15日 (水)

さぬきメモ(06) 井筒屋敷3

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2012.07.23、香川県東かがわ市引田

 風呂場が古いまま置いてあった。脱衣場の白タイル貼りの流しが美しい。腰壁は釉薬の盛り上がりのあるモザイクタイルで、脱衣場が白、風呂場は青だった。この屋敷の造作は大正から昭和初期のものだろうが、茶室にせよ、この風呂場にせよ、ノリの利いた浴衣のような涼やかさがある。これ見よがしなところがなく粋で上品だ。それが佐野家の家風だったのだろう。


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 漆塗りの金庫も残っていた。「S.KITAMURA、MINAMIAJIKAWA、OSAKA」とある。大阪の南安治川で作られたものらしい。黒地に赤ラインを忍ばせた軽やかなデザインだ。大正時代のセセッションに見える。おもしろいのは、見学者がここへお金を入れていくことだ。願(がん)掛けをして成功すると、お返しにお金を持ってくるそうだ。高松張り子もそうだが、この地域にはささやかな呪術が今も生きている。これがさぬきの第2印象となった。


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(左)奥が醤油蔵らしい(中)醤油入れらしい(左)醤油樽らしい

 酒蔵は取り壊されて駐車場になっていた。店舗として使っているのが醤油蔵らしいが、大樽(おおだる)が無くなると醸造現場の雰囲気は消える。引田は「大型廻船>醸造業>茶道文化」のラインが大切なのだから、もうちょっと醸造関係の何かがあって良いだろう。できれば小規模ながら醤油を作るぐらいのことはしても良いと思う。醤油や酒は食文化の核でもあるから、そこから新しい体験型観光へのフィードバックもあるのだ。転がっている醤油入れや舗装に使われている醤油樽の大きな蓋を見ているととわたしはさみしい。こいつらの声が聞こえないのかな。まあ今後の課題だね。

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