2012年7月 5日 (木)

建築探偵の写真帳 京大農学部旧演習林事務所

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2011.05.24、京都市左京区

 みんな大好き大倉三郎の作品。わたしの考える特徴は3つ。ひとつめは国産木材使用のためのモデルハウスだということ。農学部校舎は木造であることが基本であった。大倉が各地に建てた京大農学部演習林校舎を並べてみればよく分かる。

 ふたつめ。伝統木構造の再構築を考えていること。玄関両脇の柱は金輪でたばねている(写真下)。小材で大断面を作る実験だ。ドイツ新興木構造の流れにあるが、大仏殿にも同じ技法が使われている。この建物の設計当時、武田たちが大仏殿修理に関わっていることからヒントを得たのだろう。おもしろい。


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1931年竣工、大倉三郎、関原猛夫設計

 3つめは広い廻廊で建物をつなぐ計画。軒を深く出して陽ざしをコントロールする。夕方涼しくなれば読書や思索のためのテラスになる。高温多湿な日本の風土に対応させるための環境工学的な措置が目的なのだろうが、それだけではなかろう。廻廊を設けることで、建物の内部と外部を視覚的に流動化させるおもしろさに大倉は興味があったのではないか。廻廊は武田グループ共有にデザインモチーフだが、彼ほどうまく使いこなすものはなかった。わたしもこんな風に廻廊を作ってみたい。

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