建築探偵の写真帳 聖アグネス教会の中世主義
中世主義的な単純さと色ガラス使用を極力抑えた質素さがあいまって、清々しい美しさに仕上がっている。上部のポインテッドアーチの飾り桟が効いている。建築家もさりながら、やはり京建具の技術の確かさを褒めたい。
多少説明すると(A)で線が直交していない。すべてをピッタリと納めずに、ここで逃げているわけだ。ずれていても全然気にならないし、かえってそのほうが動きがあっておもしろい。手作りの良さは、こういう逃げを即興的かつデザイン的に処理するところにある。ちなみに(B)の円は桟をまたいでいるが、上下でちゃんと円になっている。芸が細かい。
宮津教会もそうだが、こうした梅鉢風の仕上がりはどういうことか。わたしは建具師の即興がステンドグラスを和風化させたのだと思う。全てを建築家が指示するのではなく、建具師と協力して作っている。これが中世主義だ。中世主義とは、手仕事の尊厳を取り戻すことだったのだから。
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