建築探偵の写真帳 戦後ビル編 京都府立文化芸術会館
富家宏泰の代表作のひとつとしてガイドマップに入れておいた。使いやすさで定評があるのは良く考えられt動線計画のためである。利用者の入り口は3つに分かれており、それを前面の廻廊がゆるやかにつなぐ。岡崎公園の京都会館もそうなっているが、最近はこんな当たり前の動線処理も見られなくなった。
劇場建築は背が高くなって悪目立ちするのが難点だが、前川はそれを逆手にとって、水平強調の下層部の上にシンボリックにそれをそびえさせた。富家はやんわりと大屋根で隠すもっと女性的なデザインだ。こけら葺きのような緩勾配屋根の上に端正な三角破風を載せるのは、茶室建築を意識してのことである。茶道に造形の深かった富家らしいファサードなのだ。だからガイドマップに入れておいた。
京都府立文化芸術会館 1970年竣工、富家宏泰設計、清水建設施工
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