2012年3月 7日 (水)

建築探偵の写真帳 新風館修復中

Sinpuukan
2012.03.04 京都市中京区、新風館

 昨年から外壁にネットがかかっていて不細工なことになっていたが、とうとう足場が立った。外壁を修理すると書いてある。なにをどうするのですか。

 15年ほど前に戦後ビルのタイル落下事故が続いたことがあり、タイル壁の診断と修理の技術が進んだ。最近では一定規模以上の建物には診断が義務づけられるなど法的にも厳しくなっている。ただし戦前ビルのタイル修理は難しいのではないかと思っている。

 タイルの裏側にすき間があることを「浮いている」と言って落下の前兆と考えられている。しかし戦前ビルの場合は浮いているからと言って必ずしも落下するわけではない。戦前ビルではタイルの裏側にモルタルをつけてコンクリートの壁にペタッと貼る。だからすき間はできるけど、ちゃんとひっついている。「浮いている」からと言って劣化しているとは限らないのだ。

 そもそも戦前ビルのタイル落下事故はあまり聞いたことがない。案外しっかりひっついているのだろう。新風館でもタイルの貼り替え個所はあったが、はがれているところは見たことがなかった。もし戦後ビルと同じように「浮いているところ」を修理しようとするなら、相当な面積をはがすはめになるだろう。そうやって台無しになった事例が実際にある。

 もうひとつ悪い方法は、タイルの上から防水剤を塗ることだ。タイル裏に水が入って劣化を招くのを防ぐのが目的だが、タイルは変な具合にてかって台無しになる。そんな事例も実際にある。外壁をやりかえても良いのなら防水剤の上から塗装もできるわけだが、それでは近代建築の保全にはならない。でもタイルの上から塗装した近代建築もけっこうある。そんなのは見ていて痛々しい。

 近代建築のタイル壁の診断と修理の技術はまだ確立していないと思う。外壁を古びたまま残そうとするから難しいのだ。わたしは技術がもう少し確立するまであまり触らないほうが良いと思う。本当にはがれてきたら、その原因を見つけた上で部分的な修理でやりすごすことしかできないのではないか。まあ、文化庁なんかはそうは考えていないようだけどね。

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コメント

 こんばんは。室内なら接着剤ですが室外は接着剤入りモルタルを使います。むかしは団子張りと言って、に団子状に丸めたモルタルをタイルの裏に載せてギュッと押しつけて貼っていました。戦後もしばらくはそうだったようです。タイルが落ちるのは張り方が悪いのではなくて水がまわったからだと思いますよ。そういえば滋賀県庁もそうでしたね。

投稿: つきたぬ | 2012年3月 9日 (金) 08時10分

こんばんは。
タイル貼り替え。通勤経路上にある築4年位のマンションの外壁タイルが剥がれ落ちていて補修しています。今はどう云う風に貼っているのだろうか、と思ってしまいました。接着剤かも。
滋賀県庁みたいに全面張り替え?防水剤?かもですね。

投稿: sakitaka | 2012年3月 7日 (水) 21時46分

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