2012年2月27日 (月)

建築探偵の写真帳 大谷本廟会館

Ootanibyou 2011.05.03 京都市東山区 大谷本廟

 

 ようやくこういうもののおもしろさが分かるようになってきた。京都の戦後モダニズムのなかでも特筆ものの作品で、むかし富家宏泰先生がほめていたのを思い出す。軒が思い切り出ているのが特徴で、これだけ差し伸ばしながら少しも垂れていないのは施工精度のよさをほめるべきだろう。柱や梁の組み方は木造建築を模しているが、この深い軒が大寺院本堂の廻廊部分のような気持ちのよいバルコニーを作り出している。下層部の石積みとの対比も美しい。よほどの手練れによる作品である。そういえば富家先生も軒と石積みをほめていた。それを覚えているからこうしたもののおもしろさを分かるようになったのかも知れない。

 

 手持ちの「コンクリート造の寺院建築」(横山秀哉著、彰国社1977)によれば、吉田勇設計、清水建設施工、1969年竣工とある。「建設百七十年」では竣工は1968年と1年ずれる。横山は竣工を落慶日にしているのかも知れない。まあどちらでもよい。横山によればこのとき納骨堂と回向堂も一緒に作られている。このふたつの建物は未確認だ。ちなみに吉田勇が誰なのかは知らない。とても興味深い建築家だ。

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