建築探偵の写真帳 戦後ビル編 天満橋北市街地住宅
こういうのは団地マニアの吉永健一さんに聞いたほうがいいかもね。象印のビルかと思ったら、公団の市街地型団地で低層部に象印が入っている。戦災復興期の住宅不足を背景に、土地を持つ企業とタイアップして良質な都市型住宅のストックを作ろうというした公団の作品だ。デザイン的にもよくできている。
定礎に1969年とあった。戦災復興事業はいつまでやっていたのだろうか。やはり70年大阪万博が大阪の都市化の仕上げなのだろう。
60年代の団地は、高度成長期あこがれのアメリカ風の生活スタイルだった。ただしアメリカと違って洗濯物やフトンをどこに干すかが問題だった。このタイプの団地はバルコニーが無いのが特徴だ。窓の内側に縁側のような場所があってそこに洗濯物を干す。ふとんもそこに干したのではないか。
タイルがなかなか良い。すこしレンガっぽい色合いが四角さを強調したデザインをシカゴ派っぽく見せている。表面の焼きむらが美しく、それがファサードに落ち着いた雰囲気を与えているわけだ。この時代に焼きむらのあるタイルをわざと使うとは相当の手練れである。
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