旧乾邸のディテール(5)
真ちゅう製の飾り格子や階段手摺の繊細さが意外だった。玄関回廊が中世風の重いテイストなのに、室内は近代的な軽さと明るさを兼ね備える。その軽さを金属格子が演出している。同じころの渡辺の作品である自泉会館にもこうした金属格子があったから、渡辺の手法のひとつなのだろう。
こうやって写真を見直しても作りかたがよく分からない。基本的に叩いたり伸ばしたりする鍛金なのだろう。真鍮のような堅そうな素材をよく自在に扱えるものだ。部分的に削り出しもしているようだが、鋳造のように見えるところもある。真鍮で鋳造ができるのだろうか。いずれにしても大阪の優れた金属加工職人の作品であることは間違いない。
2022.05.19、神戸市東灘区住吉
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