2022年7月 2日 (土)

旧乾邸のディテール(5)

真ちゅう製の飾り格子や階段手摺の繊細さが意外だった。玄関回廊が中世風の重いテイストなのに、室内は近代的な軽さと明るさを兼ね備える。その軽さを金属格子が演出している。同じころの渡辺の作品である自泉会館にもこうした金属格子があったから、渡辺の手法のひとつなのだろう。

こうやって写真を見直しても作りかたがよく分からない。基本的に叩いたり伸ばしたりする鍛金なのだろう。真鍮のような堅そうな素材をよく自在に扱えるものだ。部分的に削り出しもしているようだが、鋳造のように見えるところもある。真鍮で鋳造ができるのだろうか。いずれにしても大阪の優れた金属加工職人の作品であることは間違いない。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年7月 1日 (金)

旧乾邸のディテール(4)

中世風な回廊から一歩なかへ入るとモダンデザインに包まれていて面くらった。ひょっとして戦後の改装かと見まごうようなモダンさであった。

緑色の壁面は釉薬掛け布目ボーダータイル貼りで、ちょうどよい色むらが全体をタペストリーのように仕上げている。乾邸の特徴のひとつはこの見事なタイル遣いにあるだろう。そのタイル壁の装飾らしい装飾はなく、ここだけ見ればモダンスタイルの建物だと思ってしまう。

床はシンプルな大理石の模様貼りで、これもコルビュジェを思わせるほどのモダンデザインだ。とくに中央の小判型の模様の入れ方がいかにも大胆で、マチスをフォービズムを思わせる。

照明器具は古いのか新しいのか分からないが、ガラス玉で覆った特注の小型シャンデリアで、その光が白い天井に映って美しい。こういうところもモダンだと思った。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

 

 

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2022年6月30日 (木)

旧乾邸のディテール(3)

回廊部分はヴォールト天井(かまぼこ天井)になっている。そこにガラスブロックのトップライトがあり柔らかい光が下りていた。円形ガラスブロックの配置が模様になっていて楽し気である。このガラスブロックが乾邸を訪れて思っていたよりモダンだと感じた最初だった。

ガラスブロックの枠が陶器製なのは珍しい。近代的なガラスブロックを中世風のタイル天井となじませるための工夫なのだろう。芸が細かい。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年6月29日 (水)

旧乾邸のディテール(2)

回廊風の玄関ポーチがとてもよい。回廊の先端が飛び出していて車寄せになっているところが合理的だ。その部分だけ交差ボールトになっていて素晴らしい。三次元曲面を細長いタイルが覆っている。網代模様になっていて涼しげだ。

曲面なのでまっすぐ貼れないはずだが、破綻なく仕上げているところがすごい。タイルは角が丸いのは少しずつ角度を変えて貼ってもそのことを目立たなくするためだろう。細やかな心遣いである。

なぜ玄関が北向きなのか。それは眺望のよい南側を主要諸室に割り当てたからだろう。合理的な判断と言えるだろう。回廊はパーティ時に来訪者が溜まることができるように広くしている。その回廊と車寄せを合体させたところがおもしろい。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年6月28日 (火)

旧乾邸のディテール(1)

初見の印象は思ったよりモダニズムだということだ。まだよく分からないところもあるが、気になったところをメモしておく。

その前に保存のいきさつを紹介しておこう。

この建物は保存運動の結果、相続から物納の流れを変えて神戸市所有になったと理解している。ウイッキでたしかめたところ震災前に市の購入が決まっていたそうだ。そういえばそうだったような気もする。

震災の結果、購入計画が宙に浮き物納の流れになったところを巻き返したということのようだ。よく遺せたものである。保存運動にかかわった方々には感謝しかない。

保存が決まった2010年ころから見たいと思っていた。しばらく改修工事で閉まっていたと思うが、そのうち抽選式の公開が始まった。でもハガキを出すのが億劫で伸ばし伸ばしになっていた。今回初めて応募したところ、めでたく入選し見学することができた。

当日は保存運動が形を変えた旧乾邸管理会が案内しくてくださった。日頃からお庭の草引きなどをボランティアでなさっているそうだ。頭が下がる思いである。建物も幸せな老後を過ごしているようで見ていて気持ちがよかった。

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2022.05.19、神戸市東灘区住吉

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2022年6月27日 (月)

釣りたぬき 小島漁港(2022.06.26)

3ヶ月ぶりに釣りに行った。いつもの小島漁港。小島と書いて「こしま」と読む。いつもは行かない防波堤へ行ったところおもしろいように釣れた。

11時半に到着後、最初はいつもの売店前で竿を出した。風が強くて釣りにくい。アタリもさっぱりなので1時半ごろに防波堤へ移った。それから30分ほどのあいだよく釣れた。オハグロベラなど珍しい魚種も上がってきて楽しかった。2時過ぎにアタリが止まったので3時半には納竿した。

釣果はサバ2尾(18.0,15.5㎝)、メバル2尾(11.0,10.5㎝)、スズメダイ3尾(10.5-13.5㎝)、オハグロベラ1尾(13.0㎝)、ベラ1尾(12.0㎝)、クジメ1尾(10.0㎝) 6種10尾。次回も防波堤で釣りたい。

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Img_3646ベラ
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Img_3640バケツに入ってきたマメタワラ

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2022.06.26、大阪府岬町小島漁港

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2022年6月26日 (日)

奈良女子大記念館のディテール(10)

昨日、瓦師の道上さんから玄関ポーチの棟飾りと同じものを瓦で復元したことがあると情報いただいた。ブログで拝見するとほぼ同じもので、それぞれ同じ手本から描き起こされたと推定できる。

この床下換気口もそのたぐいだ。およそ山本のデザインらしくない。おそらく山本は装飾ディテールを描き起こすに当たって、なんらかの手本を見て間違いのないよう仕上げたのだろう。そのためにディテールによって個性がバラバラな印象を受けるのだ。そういうところにも山本の実直な設計手法がうかがえて興味深い。

今回の特別公開では山本治兵衛の設計をつぶさに見ることができて得るところが多かった。奈良女のみなさまありがとうございました。

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2022.05.04、奈良女子大記念館

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2022年6月25日 (土)

奈良女子大記念館のディテール(9)

玄関ポーチの棟飾りがことさらかわいい。四方に波がしらが立ち、中央からハスのツボミのようなものが突き出している。この真下の天井透かし彫りが武田だとすれば、これも武田なのかも知れない。いずれにしても見逃せないディテールのひとつである。

(追記)瓦師の道上大輔さんよりこれとよく似た瓦製の棟飾りを復元したことがあると教えていただいた。ブログで拝見するとほぼ同じもので、それぞれ同じひひな型から描き起こしたものであろう。武田が関与したものではなく当時のひな型集を確認すべきことが判明した。道上様ありがとうございます。

(道上さんのブログ)
未来工房/瓦人 
未来工房/瓦人 

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2022.05.04、奈良女子大記念館

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2022年6月24日 (金)

奈良女子大記念館のディテール(8)

講堂正面にギリシャ神殿風の門構えがある。おそらく天皇陛下のご真影を掲げる場所なのだろう。白い壁にブラウンの色使いが唐突な感じがする。意匠もよくできた新古典主義でこれまで見てきたディテールと違和感がある。よく見ると白い柱頭飾りの横に三角形の模様がある。その角度がギリシャ神殿風の破風の角度と異なる。この門構えは当初にはなかったのだと思う。残っている図面や竣工当初の写真を見れば確かめられると思うが公開されていなかった。せっかく改修したのだから山本治兵衛のデザインについてもう少し説明がほしい。

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2022.05.04、奈良女子大記念館

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2022年6月23日 (木)

奈良女子大記念館のディテール(7)

おもしろいのは折り上げ天井部分で梁が見えていることだ。これはクイーンポストトラスの下部分だろう。構造的に必要なものだから見えても差し支えないという山本らしい合理的判断がうかがえる。

同様に階段室部分にも梁が露出している。これが何なのかよく分からない。おそらく補強上必要なものなのだろうと思う。よく考えてみたい。

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2022.05.04、奈良女子大記念館

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2022年6月22日 (水)

別宮の養蚕農家をスケッチした

高原の小集落である別宮(べっく)には3階建ての養蚕(ようざん)農家がたくさん残っていた。大杉地区とは違うタイプで2階建ての養蚕農家を3階建てに改造したような跡の残るものもあった。大杉よりは古いタイプなのかもしれない。大壁が大好きなわたしにとって理想の建築といってよい。

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2022.06.19/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.5、固形透明水彩/兵庫県養父市


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2022年6月21日 (火)

2枚続きのハガキスケッチ

5年ほどハガキサイズで教室を続けてきたが、生徒さんの作品が画面からはみ出るようになったので2枚続きの実演をした。ハガキサイズの用紙をタテにつないでケヤキの古木をスケッチした。この日は何人かが2枚続きのスケッチに挑戦なさったが、けっこうよく納まっていて見ごたえがあった。次回はサイズの大きい紙と画板とを用意してみよう。
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2022.06.18、兵庫県養父市別宮(べっく)

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2022年6月20日 (月)

鎌倉時代の多宝塔を描いた

昼から時間ができたので石山寺へ行ってきた。入山が3時ごろだったので観光客も少なくゆっくり参詣することができた。多宝塔は鎌倉時代のものでとても古い。檜皮葺のやさしいお姿で母なる如意輪観音の聖地にふさわしい。

スケッチブックはF4(33.3x24.2)からF6(41.0x31.8)へスケールアップした。数年前にはF3(27.3x33.0)だったが、大きな画面に慣れるためにすこしずつ大きなものに持ち替えている。F6は大きいぞ。はたして慣れるのだろうか。これで45分くらい。

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2022.06.19、滋賀県大津市、石山寺

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2022年6月19日 (日)

課題「憩いの場」発表会(京都建築専門学校二部)

京都のタイムズビルの敷地に公園を設計する課題。発表があったので講評した。楽しいプランが集まったのでメモしておく。
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03.(未完成)2段の人工地盤のあいだを行き来する、現況タイムズビルへのリスペクトあり
02.高瀬舟船着き場を計画。歴史的なアプローチが出色
04.複数のc型壁ブース、ブース群を囲む壁、水辺、階段の円を使った処理がおもしろい
08.キャンプファイヤーをイメージしたストーブとステンドグラステント、火を使うアイデアがよい。
10.人生を模した高い橋、飛び石、平坦の3コース、それぞれの対比がよくできている
11.砦のような展望台、シンプルゆえの力強さあり
06.個別ブースが大量に並ぶ、視線を制御する細かい高低差を設定する設計力あり
12.大きな倒木が水面を渡る、圧倒的なドローイングの力【グランプリ】
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13.ハスの葉のかたちの水上回転遊具に乗って喫煙所まで行く、機械をつかった発想力が独特
19.水流をともなった大階段を中心としたプラン、スロープによるアプローチを多用し多様な来園者に配慮
24.樹木に囲まれた水面にカラフルな飛び石が散らばる。幸せのハート型飛び石を置いてイベントを誘う発想がおもしろい
14.可動式積み木システムの提案、組み方によって使いかたが変わる。システムを提案できる構想力が出色【高橋賞】
01.柔らかい地形に格子屋根がかかる、15㎝ほどの感覚ですべてがスライスされており川の水が浸入する、独特のイメージがよい
17.狭いアプローチをくぐり抜けて空と水面しか見えない世界へ出る。壁の下を開けて水面だけが見える工夫がよい
21.カラフルな円筒や幾何学図形を組み上げた立体迷路、楽しくて美しい
22.アリ地獄状の円形劇場、外からは見えない隠されたステージという発想が楽しい
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09.荒波に削られたような岩の崖をつくる、力強いイメージに魅力あり【円満字賞】
23.敷地を堀と土塁で囲み、その中に橋のかかった池を計画、こどものための囲い地を構想する楽しい作品
25.3コースのシンプルな計画、展望、ショートカット、水辺と性格を作り分ける設計力あり
15.三条通り側を町家をイメージしたフレーム、龍馬通り側を高知の海をイメージした作庭。町中に海をイメージする意欲作
16.(未完成)タイムズを改造した公園を計画中

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2022年6月17日 (金)

奈良女子大記念館のディテール(6)

長椅子も当時のものだろう。昔の女子学生用なので座が少し低い。冷えないように座面に綿が入っている。それに合わせて窓の下も低く、座った状態で外が眺められる寸法になっている。窓下のパネルは階段手すりと同じゴシック風の模様だ。どことなく不思議の国のアリスに出てきそうな建物である。

2階の講堂には古いグランドピアノが置いてあった。この日は卒業生の見学者も多かったようで、このピアノをおもいおもいに弾くかたも多かった。それがいかにも女子師範学校という感じがした。

山本は学校校舎を生涯作りつづけた建築家だが、そこで学ぶこどもたちのようすを思い描いて設計したのだろう。ここは女の子たちが学ぶ場所だ。だからこの校舎はアリスに出てくるような楽し気な模様で満ちているのだろう。

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2022.05.04、奈良女子大学記念館

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2022年6月16日 (木)

奈良女子大記念館のディテール(5)

階段がおもしろかった。透かし彫りをした厚板をはめこんで模様を作っている。こんな作り方があったとは知らなかった。これなら私にもできるかも知れない。あと気づいたのは踊場と階段との境目に小さな柱状のものがついていた。幅木の端部を隠す飾りなのだが、これもおもしろいと思った。
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2022.05.04、奈良女子大学記念館

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2022年6月15日 (水)

奈良女子大記念館のディテール(4)

模様入りの摺りガラスがいくつかあった。光の加減で模様が浮かびあがるのがおもしろい。夜、外から見たらまた違った風に見えるのだろう。こんな風に擦りガラスを積極的に使う事例は珍しい。今でも使える技術なので私もやってみたい。

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 2022.05.04、奈良女子大記念館

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2022年6月14日 (火)

奈良女子大記念館のディテール(3)

透かし彫りの換気口は建物のなかにもあった。いずれもぎりぎりまで切り込みを入れている。そのおかげで図案がはっきり見えて楽し気な趣きをかもしだしている。

講堂天井のシャンデリアまわりの八芒星は玄関ポーチ天井の星型飾りのバリエーションなので同じ人物が考えたのだろう。透かし彫りは玄関ポーチのものだけ異質なので、これは山本以外の人物の手になるように見える。再掲しておくので見比べてほしい。誰の手になるか分からないが、ひょっとして武田かもしれん。

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2022.05.04、奈良女子大記念館

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2022年6月13日 (月)

赤い庭の謎

孤篷庵(こうほうあん)の庭がなぜ赤いのか分かったのでメモしておく。

図のように赤い庭は方丈側と書院側に分かれている。それぞれ意味があると考えるべきだろう。意味が分かったのは方丈側の長方形の庭のほうだ。これは五行で考えるのが常套だろう。方丈前の禅庭は五行で読むことが多いように思う。

北条は釈迦如来を祀った本堂である。その南側に小堀家の墓地がある。ここは小堀家の菩提寺として遠州のよって作られたのだ。その墓地の前に赤い庭が横たわっている。庭は墓地とセットになっている。

赤は五行説で言えば火気に当たる。火気には土気を生む力と金気を殺す力のふたつの働きがある。すなわち火気を供えるとすれば土気の神さまを喜ばせるか、金気を殺して木気を援けるかのどちらかだ。

この場合は金気を殺すほうだろう。金気には木気を殺す力があるので、金気を殺しておけば木気が喜ぶわけだ。

木気は春を象徴する。生命誕生を象徴する気である。この場合は小堀家の子孫繁栄を願ったものだろう。

遠州の略歴を見ておく。

小堀家は豊臣家の寵臣でありながら関ケ原では徳川方についた。戦功に応じて小堀家は備中松山領を拝領した(1600)。父親の跡をついで大名になったのが1604年。そのころには古田織部の高弟のひとりとして知られていた。1615年大阪夏の陣で織部は豊臣方として捕縛され切腹。このときが小堀家の最大の危機だったろう。

遠州は畿内に呼び戻され徳川方の行政官として手腕を振るい1624年には伏見奉行となった。二条城や水口など彼の主要な作庭はこの時期に集中する。1643年、孤篷庵を菩提寺として整備。1645年ごろ公金横領の嫌疑がかかるが酒井忠勝や細川忠興らの茶道遠州流を遺すべしという工作によって助かる。1647年69才で死没、孤篷庵に葬られる。

小堀家は豊臣から徳川へと綱渡り的な処世のみちをたどった。遠州自身、何度も切腹の危機を乗り越えてきた。遠州は自分が死んだあと、これ見よがしに小堀家がつぶされることを予見したのだと思う。だから遠州流を茶道として確立させることに心をくだいた。それと同時に菩提寺には子孫繁栄の願いをこめて赤土の庭を作ったわけだ。

庭の東の隅に小さな木立がある。樹齢数百年でありながら高さが2メートルくらいしかない。底に岩が敷いてあって大きくならないようコントロールしているそうだ。直植えの盆栽といってよいだろう。東側は木気の領域なのでこの盆栽は木気を象徴している。ここを見ても赤土の庭が金気を殺して木気を援ける意味であることは瞭然だろう。以上、現時点での推理をメモしておいた。
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2022年6月12日 (日)

小堀遠州の孤篷庵を見学した

特別公開していたので見学した。40分間のガイドツアーだったが分かりやすい解説だった。撮影スケッチとも不可だったので画像はないが印象に残ったことをメモしておく。

まず方丈前の庭が赤土のテニスコートのようで驚いた。赤い庭は初めて見た。刈込が波を表し赤土が海を写すと説明があったが、なぜ海が赤いのか。八卦では赤は悦びの色だが、五行では燃え盛る炎の色だ。火気を供えて土気を増すか、金気を滅ぼして木気を援けるか、そのどちらかだろう。孤篷庵を開いた理由と関連していると思う。ただの隠居所ではないような気がする。

ふたつめは茶室・忘荃(ぼうせん)席の明かり障子が美しかったこと。障子の下がにじり口になっているとは知らなかった。西向きであるので日除けの障子だと説明があった。障子に夕陽が映って真っ赤になるのではないか。障子のむこうには真っ赤な庭が広がる。赤土の庭と赤い光に染められた茶室、これは阿弥陀来迎の浄土を示すのではないか。

3つめは重ねられる月のイメージ。まず門の敷石が月の形に見えたこと。次に忘荃席の明かり障子の下に「露結」という臼型の手水鉢があること。露結耳とはうさ耳のことだそうだ。臼はウサギが餅をつく臼なのだろう。3つ目は忘荃席の床の間に月が描かれていること。これらの月は何を示しているのだろうか。忘筌席の月のなぞかけが解ければ赤い庭の意味も分かるだろうか。これから少しずつ考えてみたい。

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2022.06.09、孤篷庵への途

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奈良女子大記念館のディテール(2)

玄関ポーチの天井の換気口のデザイン。とくに照明器具上のものは秀逸だ。大胆な切れ込みでアールヌーボー風の模様を描き出している。それが4枚で星形となり、それに合わせて天井の羽目板を斜め張りしている。シンプルで美しい。

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2022.05.04、奈良女子大学

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2022年6月10日 (金)

奈良女子大記念館のディテール

公開していると聞いたので行ってきた。以前訪れたことはあるがまとまった印象はなかった。最近、山本治兵衛を調べているので、もう一度じっくり確かめたかった。正面からスケッチして考えが少しまとまった。考えたことをメモしておく。

この建物は明治41年に奈良女子高等師範学校として建てられた。ただし現地の説明に設計者の山本治兵衛の名前はほぼ出てこない。文献上の確証がないのかも知れない。わたしが見たところ、実直で堅実な山本らしい作風なので、山本設計でよいと思う。ハーフチンバー風の飾りは京大の学生集会所(M44、解体)にもあるし、玄関ポーチは京大の文学部陳列館(T3)に似ている。

玄関ポーチと小塔の組み合わせは大谷大学旧本館(尋源館、T2)にも似ている。設計者のひとりである山本八太郎は山本治兵衛の息子と目されることから、尋源館には奈良高等師範の影響があったのかも知れない。

旧本館の裏側にはスイレン池を囲んだ中庭があった。裏側のほうが山本らしい端正な壁面構成を楽しむことができる。機会があれば裏側もスケッチしたい。


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2022.05.04、奈良女子大

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2022年6月 9日 (木)

2回目のスケッチ授業風景

今年2回目のスケッチ授業。木を描く。2回目なのでみんな少し慣れたようすだ。1時間ほどで次々と完成していく。受け取るときに一言講評をする。1回目よりも勢いのある作品が多い。もっともっと自由であれ。

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2022年6月 8日 (水)

ライオン橋のライオン

作者は天岡均一(1875‐1924)というかたで、東京美術学校で高村光雲に学び明治大正と活躍した彫刻家だそうだが、わたしはよく知らない。

このライオンは天岡が原型を作り、熊取谷力松という石工が刻んだという。それをわたしがスケッチした、というわけだ。

橋は1975年に架け替えられたが、石造の上部意匠は保存されたので見かけは1915のまま変わらない。よくあれほど薄いアーチ橋を架け替えられたものだと感心する。
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2022.06.04/ワトソン紙はがきサイズ、グラフィックペン0.5、固形透明水彩/大阪市、なにわ橋

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2022年6月 7日 (火)

「糸と硝子の夏至祭」高橋礼子・円満字亜矢子ふたり展

かみさんが造形の高橋さんと恒例のふたり展を開きます。京都市役所近くのギャラリーテイクツーにて今日から3日間だけ。帽子とアクセサリーの展示と販売です。
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2022年6月 6日 (月)

大阪スケッチ教室でライオン橋を描いた

思ったよりも起伏が多いために、毛皮のふさふさした柔らかい毛皮の感じが感じられる。とてもよい彫刻だ。

ライオンの脚が短かったので途中で描きなおした。脚の指が上下2段に重なっているのはそのためだ。ペンなので古い線は消せないが、わざわざ消さなくてもスケッチとしては成立することが分かる。わたしはペンを使うようになって絵が変わった。ペンはいいぞ。

近代建築を描くお散歩スケッチ(カルチャーハウス香里園)
https://culture-house.com/course/61e4c7e8a9defb00291ef6a2

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2022.06.04、大阪市、なにわ橋

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2022年6月 5日 (日)

芝川ビルをスケッチした

思っていたより複雑だった。2階以上はタイル貼りとそれ以外にきれいに分かれている。しかしその区分は1階では無視されている。そのことに初めて気づいた。よく知っていると思っているものでもスケッチすると発見がある。

外国の街角みたいでもある。三々五々人がやってきては写真を撮っていた。これで37分。

F4のスケッチブックを使いきった。3ヶ月で15枚だから私としては早いペースだ。F4(333X242)の大きさに慣れたので、次はF6(407X320)のスケッチブックを買ってみる。
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2022.06.04/ヴァフアール紙粗目F4、グラフィックペン0.5、固形透明水彩 /大阪市中央区、芝川ビル

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2022年6月 3日 (金)

半田の旧カブトビール工場(4)

ドイツ民家風のハーフチンバーが異国情緒を盛り立てている。この建物の一番の魅力である。

斜材と横材とをボルトで締めている。実際のハーフチンバーでは込み栓で固定するが、それを金物で代用している。このハーフチンバーは随所に金物を使用していることが目をひく。

建物が竣工したのは明治31年(1998)だった。明治24年の濃尾震災から6年後である。直下型地震に西洋流のレンガ造が弱いことが明確になり、このあとレンガ壁内に平鋼を仕込んだ耐震レンガ造が普及する。このビール工場の金物を使ったハーフチンバーや断熱層をはさんだレンガ造も耐震性の向上をテーマとしていたように見える。

さて、このハーフチンバー部分はラベル貼りなど出荷のための作業場だったそうだ。このまえにトロッコ線路があり、おそらく工場に配備された小型機関車がビールを積んで半田駅まで運んだのだろう。

なぜここだけがハーフチンバーなのか。おそらく将来的な増改築に備えたものだろう。もちろんレンガ造でも増改築はできるが、ハーフチンバーなら解体しても木材部分と金物は再利用可能だ。これは増改築の自由な一種のプレハブ工法なのである。

半田のカブトビールに先立つ明治27年(1894)に妻木は広島議事堂を作っている。日清戦争の大本営が広島に開かれたので国会議事堂を臨時に設けたものだ。これはわずか20日間で竣工させたことで有名だ。これはレンガは使っていないがハーフチンバーだった。

寸法を統一した木材を金物を使って組み立てるプレハブ工法だったらしい。この半田のビール工場と同じ工法だったのではないか。妻木は工期を短縮しながら耐震性を向上させ、しかも増改築に対応できるシステムを考えていたのではないか、と私は思う。

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2022.04.24、愛知県半田市、半田赤レンガ建物

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2022年6月 2日 (木)

半田の旧カブトビール工場(3)

この建物のおもしろいところは、外壁が中空になっていることだ。こんなレンガ造はじめて見た。断熱性能を高めるのが目的だそうだ。ビールをつくる酵母は生き物だから、その力を発揮できる最良の環境を作ろうとしているのだ。ドイツの最先端技術を取り入れたものだろう。さすが妻木頼黄である。

ちなみに縦長の穴はずっと続い。ているわけではない。中を覗くと手が届くあたりで行き止まりとなっている。この壁は左右に分厚い構造壁を立てている(画像の黄色い部分)それをH型につなぐ短い壁を立てて、残った部分に4列の縦長穴の中空層を作っている。中空層も左右の壁をやわらかく繋ぐので構造的にも強くなると思う。

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2022.04.24、愛知県半田市、半田赤レンガ建物

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2022年6月 1日 (水)

半田の旧カブトビール工場(2)

解体した部分で壁の断面を観察することができる。壁の表面は仕上げ用のきれいなレンガを1枚積みしている。その内側に隠れている壁本体は比較的雑然と積まれている。仕上げ用レンガを積むために本体から飛び出たレンガを削り取っているのが分かる。どうぜ仕上げ用のレンガを貼るのだから、本体はきちんと積む必要なないのだろう。強度的には雑然と積んで目地が上下で通らないほうが多少強いだろう。

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2022.04.24、愛知県半田市、半田赤レンガ建物

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2022年5月31日 (火)

半田の旧カブトビール工場

これほど高いレンガ壁を見たことがなかった。なかなかの迫力で見にきてよかった。この壁面には屋根型が残っている。この壁から手前にかけて翼部が伸びていたそうだ。その部分を解体したところで保存が決まったという。保存のために奔走なさった地元の方には感謝しかない。

このビール工場は地元のミツカン酢の中埜家などが出資して生まれた。地域産業の振興と雇用の確保のために起こした事業だった。事業は成功してカブトビールは国内有数のビールメーカーに成長した。こうした先人の取り組みの記憶が地域に残っていて保存につながったのだと思う。保存されたのは地域の歴史そのものであろうとわたしは思う。
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2022.04.24、愛知県半田市、半田赤レンガ建物

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